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第15回 サッカーW杯をサポート!ペットボトル再生繊維の遠東新世紀


ニュース 石油・化学 作成日:2017年10月27日_記事番号:T00073613

台湾産業ココがスゴイ

第15回 サッカーW杯をサポート!ペットボトル再生繊維の遠東新世紀

 4年に1度のサッカーワールドカップ(W杯)が来年6~7月、ロシアで開催されます。このサッカーW杯の出場チームにユニホームを提供しているナイキは、2010年の南アフリカ大会から、使用済みペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維を採用しています。このエコなユニホーム、実は台湾の遠東新世紀(ファーイースタン・ニューセンチュリー)がペットボトルを回収し、再生繊維、生地にして、作っていたことはご存じでしたか?

/date/2017/10/27/20koram1_2.jpg遠東新世紀が今年力を入れている「環境」をイメージした緑のブース(YSN)

CSR意識で採用増加

 遠東新世紀(09年に遠東紡織から社名変更)は06年からサッカーW杯のユニホームを生産しており、10年の南アフリカ大会でナイキが初めて手掛けた▽ブラジル▽オランダ▽ポルトガル▽米国▽韓国▽豪州▽ニュージーランド▽セルビア▽スロベニア──の9カ国の再生繊維ユニホームに続き、14年のブラジル大会でも▽ブラジル▽米国▽イングランド▽ポルトガル▽クロアチア──の5カ国のナイキ再生繊維ユニホームを受注しました。もちろん、18年のロシア大会向けも受注しています。サッカーW杯を影で支えるサポーター的存在です。

 10月中旬に開催された台北紡織展(台北イノベーティブ・テキスタイル・アプリケーション・ショー、TITAS)でも、遠東新世紀のブースには再生繊維ユニホームやスポーツウエア、そして原料となるペットボトルが並んでいました。

/date/2017/10/27/20koram5_2.jpg台湾のペットボトルの回収率は95%で世界最高、その半分を遠東新世紀がリサイクルしています(YSN)

 ブース担当者は、具体的な数字は明かせないけれど、CSR(企業の社会的責任)意識が高まる中、各ブランドは何年までに何%と目標を定めているので、これからも再生繊維の採用は増える見込みだと話してくれました。

 遠東新世紀の再生繊維を採用しているメーカーは、ナイキやアディダスといった有名スポーツブランド。再生繊維を利用した製品はスポーツウエアのほか、シューズ、カーペット、カーテンなどがあり、中でもシューズが今年の注目だとか。というのは、スポーツブランドにとってシューズは売上高の約半分を占める主力製品だからだそうです。

スマート衣料より成長

 遠東新世紀はアパレル一貫生産だけでなく、さらに川上の石化事業まで手掛けており、台湾の桃園市にある2工場でペットボトル再生繊維を作り、日本の茨城県にある工場では回収したペットボトルから、日本の飲料メーカー向けの再生ペットボトルを作っています。ブース担当者は、ペットボトルのリサイクルだけでなく、原料の石油の使用量減少、製造工程で使うエネルギーの節約や二酸化炭素(CO2)排出量の削減が、環境保護につながると説明してくれました。

 台北紡織展の資料によると、再生繊維製品の世界市場規模は2016年の40億米ドルから、27年に65億米ドルへと、年平均成長率(CAGR)5.1%の伸びが予想されています。一方、着用するだけで心拍数などの生体情報を取得できる「スマート衣料」の市場規模は24年に40億米ドルの予測。話題のスマート衣料より、見た目も肌触りも一般の繊維製品と変わらない再生繊維製品の方が普及が早そうですね。ペットボトル飲料を買ったときには、リサイクルをお忘れなく!

ワイズメディア 青木樹理

台湾産業ココがスゴイ