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17年10大ニュース【2位】17県市で大規模停電、脱原発手法に批判高まる


ニュース その他分野 作成日:2017年12月28日_記事番号:T00074775

月間5大ニュース

17年10大ニュース【2位】17県市で大規模停電、脱原発手法に批判高まる

 8月15日夕方、花蓮・台東を除く17県市で、台湾全世帯の64%に当たる828万世帯が、最大約6時間にわたって大規模な停電に見舞われた。停電発生直前の台湾全土の電力の予備供給率はわずか3.17%で、蔡英文政権が進める脱原発政策の下、補修が終わった原発の発電機を再稼働させていないがゆえに被害が大きくなった。このため、2025年という早期に脱原発を目指す政策手法に批判が巻き起こり、再稼働を求める声が高まった。

/date/2017/12/28/02blackout_2.jpg暗闇に包まれる夜市。多くの人々が不便さを強いられたが、大きな事故が起きなかったのは不幸中の幸いだった(中央社)

 停電は、台湾電力(台電、TPC)の大潭火力発電所(桃園市観音区)の発電設備全6機が突然運転を停止し、計438万キロワット(kW)の電力供給がストップしたことによって起きた。原因は、台湾中油(中油、CPC)の担当者らが、発電所に天然ガスを送るパイプラインで、所定の方式で部品交換を行わなかったためラインの電動弁2カ所が同時に締まり、ガス供給が中断した人為ミスだった。

 停電は退勤時間と重なり、各地で交通の混乱や、エレベーター内に利用者が閉じ込められる事故が相次いだ。人為ミスによって重要インフラがまひ状態になる事態は先進国・地域では珍しく、TPCを管轄する経済部の李世光部長、CPCの陳金徳董事長が引責辞任した。

/date/2017/12/28/02blackout2_2.jpgTPCの大潭火力発電所。台湾第2の規模の発電所でありながら、バックアップ設備を持たないなど課題も浮き彫りになった(TPCサイトより)

 なお、TPCの楊偉甫董事長は12月20日、大気汚染問題によって地方自治体から火力発電所の稼働2割抑制を求められているため、来年は電力の予備供給率が警戒ラインの6%以下に近い水準となり、今年や昨年よりもリスクが高まるとの見解を示した。電力需要の高い夏季に電力供給制限を迫られるリスクが高まることを意味し、当局には今年の失敗を繰り返さないよう万全の備えが求められる。

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