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17年10大ニュース【1位】一例一休で大混乱、再度の法改正へ


ニュース その他分野 作成日:2017年12月28日_記事番号:T00074776

月間5大ニュース

17年10大ニュース【1位】一例一休で大混乱、再度の法改正へ

 勤労者の長時間労働を改善するため、7日に1日、休日出勤を認めない例仮(法定休日)の設定(七休一)などを盛り込んだ、いわゆる一例一休(週休2日制)の改正労働基準法(労基法)が2016年末から施行されたものの、業務実態に合わず、人的コストがかさんで企業経営を圧迫するとの批判が相次ぎ、蔡英文政権は異例の法規再改正を迫られる事態となった。17年は一例一休がもたらした混乱への対応に追われた1年だったといえる。

/date/2017/12/28/01labor_2.jpg労基法再改正は労働強化につながるとして、若い勤労者には反対の声が少なくない。12月23日には台北市内で大規模な抗議デモが繰り広げられた(中央社)

 一例一休ではまた、休息日(所定休日)に出勤した場合、労働時間を4時間単位で計算(短時間労働でも4時間として計算)することや、時間外労働の上限が月46時間と定められたことなどにも不満が集まった。

 企業はシフト勤務に影響が出ることを懸念して、人材採用を増やす一方、残業代を削減。また、コスト上昇分を製品・サービス価格に反映させようと、長距離バス業者や飲食業者などが相次いで値上げを行った。収入減と物価上昇を警戒して消費マインドが低下し、1~2月は各地の百貨店が大幅な売上減となった。こうした状況を招いたことで、一例一休は「企業はコスト増、労働者は収入減、消費者は物価高の三者全敗の政策」と酷評された。

 労働部はケース想定が不十分だったため、改正法への解釈令を相次いで出すなど対応が後手に回った。蔡総統は人気を大きく落とし、1月は支持率33.8%、不支持率54.4%(台湾民意教育基金会)と就任以来で最悪の支持率(当時)となった。

頼行政院長が見直し宣言

 この状況の下、早くも1月の段階で、産業界や与党立法委員の間から労基法の再度の改正による問題点修正を求める声が上がった。林全前内閣は慎重だったものの、9月上旬に頼清徳前台南市長が行政院長に転じるや、見直し方針を宣言。11月10日に「七休一」の条件付き緩和や、休息日の残業の実時間計算、残業上限時間の緩和などを盛り込んだ再改正案を閣議決定した。労働時間の強化につながるとして労働団体は反対しているものの、産業界は再改正支持で、蔡政権は来年の統一地方選挙を視野に強硬突破を図る構えで、早ければ来年1月に再改正が決まる見通しだ。

 なお、一例一休は好景気と相まって企業の求人を増やし、直近11月の失業率は3.71%と過去17年の同月で最低となった。一方、今年1~11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は0.57%で、物価面への影響は実際には軽微だったもようだ。

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