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第22回 元・雨傘王国を救え!日本人ニーズに照準TAFA


ニュース その他製造 作成日:2018年5月22日_記事番号:T00077173

台湾産業ココがスゴイ

第22回 元・雨傘王国を救え!日本人ニーズに照準TAFA

 梅雨といえば、傘ですね。台湾はかつて雨傘王国と呼ばれ、全盛期には輸出額が200社余りで数百億台湾元に上り、1960~70年代の海外市場シェアは8割を占めたそうです。その後、中国などへ海外移転が進み、雨傘輸出メーカーは激減しました。

/date/2018/05/22/20flower_2.jpg雨水がかかると、生地の花模様の色が変わる傘。雨の日が楽しくなりそうです(YSN)

 そんな中、日本や欧州の消費者の好みの違いに目を付け、アイデア力で日本市場開拓を強化しているのが帝華洋傘皮包廠(TAFAアンブレラ&バッグファクトリー)です。

軽い・丈夫・高品質

 TAFAの主な顧客は、景品や粗品業者。フォルクスワーゲン(VW)をはじめ自動車メーカーなどが景品や粗品業者を通じて、同社の商品を買い付けるそうです。欧州向けが3分の2、日本と台湾向けが合わせて3分の1を占めています。

 TAFAによると、欧州では大きくてがっちりした傘が好まれますが、日本ではこうした傘が不評で、逆に軽さ、丈夫さ(壊れにくさ)、素材や品質が重視されるそう。台湾は歴史的なこともあり、日本と価値観が近く、職人気質が共通しているので、日本人のニーズを理解しやすいと考えています。そんな同社と傘骨メーカーが開発した個性的な傘をご紹介しましょう。

便利さより心に寄り添う

 最近、時々見掛ける「逆開き傘」。同社はさまざまなニーズを考慮し、既に4回もモデルチェンジを行いました。というのも、3代目で使い勝手がよいジャンプ傘に改良したところ、日本では不評。傘が勢いよく開くと、周りに迷惑をかけると日本人は感じるのではと考え、4代目では開くときは手で開き、戻すときはボタンを押すとゆっくり閉まるタイプを開発しました。

/date/2018/05/22/20inverse_2.jpgニーズに合わせて4モデルある逆開き傘(YSN)

 次は、「安全折り畳み傘」。一気に開閉するのでなく、途中で止めることができます。一般の折り畳み傘は、開閉に力やコツが必要で、勢い余って手の平にけがをしてしまった経験が筆者にはあります。そうした女性の使い勝手を考えた製品だそうです。

 続いて、傘の生地が強風で裏返っても、片手で簡単に元に戻せる「片手折り畳み傘」。グラスファイバー(FRP、繊維強化プラスチック)骨でできており、強風が吹けばパッと裏返るため、傘骨が折れてしまうリスクが減ります。しかも、裏返ったときには、ボタンを押すだけで通常の形状に戻ります。日本市場に3月から投入したばかりだそうです。

/date/2018/05/22/20light_2.jpg台湾では強風で裏返ることも多いので、重宝しそうです(YSN)

 そして、日本できっと人気が出ると見込んでいるのが「軽量傘」。近年、軽い傘が増えていますが、同社のこの製品はわずか110グラム。軽さの秘密は、親骨、中骨、受け骨がカーボン製で、かつ密度20デニールの軽い生地を採用したことだそうです。ただ、こうした軽量傘は、欧州ではあまり受けないそうです。

 最後に変わり種。傘を開くと風がそよそよ。内部に付いている扇風機が傘を開くと動き出す「扇風機付き傘」。ゴルフコンペの景品によさそうですね。

少量注文・短納期に自信

 TAFAは1974年設立。工場は新北市新荘と中国福建省にあります。最低受注数量は1,200本と、業界でよくある3,000本より少なく設定しており、納期も同業より短いそうです。

 自社ブランドでなく、景品や粗品業者に卸しているので、知らないうちにTAFA製の傘を使っているかもしれません。

ワイズメディア 青木樹理

台湾産業ココがスゴイ