ニュース その他分野 作成日:2018年6月6日_記事番号:T00077455
KPMG 分かる台湾会計OECD(経済協力開発機構)のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告(行動計画13「多国籍企業情報の文書化」)を踏まえ、台湾においても2017年度から移転価格税制に係る3種の文書化制度が整備されました。今回は、3文書の一つである国別報告書の提出方法について説明します。
1. 国別報告書とは
移転価格税制に係る3文書とは、マスターファイル、国別報告書および移転価格報告書を指します。国別報告書は今回制度化された文書の一つで、多国籍企業グループの構成会社などの事業が行われる国または地域ごとの次表の情報を記載する報告書です。台湾では、属する多国籍企業グループの前年度の連結総収入金額が270億台湾元(約1,000億円)以上の場合に提出が要請されます。この金額基準は、日本とほぼ同様です。提出期限は原則として会計年度終了日から1年以内(12月末決算の場合は、初回期限が18年12月31日)です。
2. 国別報告書の提出方法
国別報告書は原則各国の国税当局間の情報交換規定により、税務当局が直接相手国の当局から入手することが想定されます。ただし、現時点において台湾では、ニュージーランドを除き、情報交換規定により台湾税務当局が相手方の税務当局より直接国別報告書を入手することができません。(※)そのため、提出要件に該当する台湾の子会社などは、日本の親会社から国別報告書を入手して、自ら提出期限までに台湾当局に提出する必要があります。なお、台湾に複数の子会社などが存在する場合には、いずれか一つの子会社などが代表して提出することが認められ、代表する子会社名を営利事業所得税(法人税)申告書別表に記載します。
(※)18年4月27日付、財政部公表「国別報告書に関して、締結・発効済み租税条約があるものの有効な情報交換ができない国または地域の参考リストについての公告」
3. まとめ
16年締結の日台租税協定を受け、日台間で国別報告書の情報交換規定が適用されることが期待されていましたが、現時点では適用できません。台湾当局は継続して日本との情報交換規定の適用に向けて努力を継続すると聞いていますので、今後、国別報告書の提出期限までに状況が変わるかもしれません。日系台湾子会社にとっては、提出の手間が省けるため、情報交換規定の適用が望まれます。
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