ニュース その他分野 作成日:2018年7月4日_記事番号:T00077946
KPMG 分かる台湾会計営利事業者が所有する有形固定資産の廃棄に際しては、法定耐用年数を経過しているか否かにより、その税務上の廃棄損計上要件が異なります。今回は有形固定資産の廃棄損に関する税務上の扱いについて、財政部北区国税局の指摘事例を踏まえて解説します。
1.税法上の有形固定資産の取り扱い
営利事業者が購入した有形固定資産について、経済的使用可能期間が2年以上かつ取得価額が8万台湾元(約29万円)以上のものについては、貸借対照表に計上後、原則として法定耐用年数により減価償却を行う必要があります。
法定耐用年数に達するまで減価償却を行った有形固定資産については、実際の消滅または廃棄の事実をもって、その残存価格を廃棄損へ計上することができます。また、法定耐用年数終了後も継続して使用する場合は、その残存価額について、法定耐用年数経過以後の継続使用可能年数および継続使用可能年数経過後の残存価額を見積もり、当該見積もりに基づいた減価償却を継続します。
2.北区国税局の指摘事例
A社は2015年度営利事業所得税(法人税)申告時に約6,500万元の資産売却損を計上しました。この資産売却損に関して、国税局がA社から提出された明細表を確認したところ、その中に法定耐用年数経過後の有形固定資産廃棄損約1,200万元が含まれており、「計上対象から管理対象へ」との文言が記載されていました。
国税局の調査の結果、これらの有形固定資産は、会計帳簿上は除却(損失処理)されていましたが、調査時において継続して使用中であり、実際の廃棄は行われていませんでした。このため、国税局は規定に基づき、当該継続使用中の有形固定資産の廃棄損を損金不算入とし、約200万元の税金を追徴しました。
3.まとめ
有形固定資産が法定耐用年数に達しないうちに廃棄損を計上するためには、事前に税務機関への廃棄申請により許可を取得する、または会計士による廃棄証明書および税務監査報告書を取得することが必要です。一方、法定耐用年数経過後において廃棄損を計上するためには、上記の証明書類の取得は不要ですが、当該有形固定資産の実際の消滅または廃棄の事実に基づく必要がありますのでご留意ください。
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