ニュース その他分野 作成日:2018年9月5日_記事番号:T00079105
KPMG 分かる台湾会計営利事業者が関係会社に対する売掛金の回収期日の延長をした場合、移転価格の観点で資金の提供とみなされる場合があります。今回は関係会社に対する売掛金の回収期日を延長した場合の税務上のリスクについて、財政部台北国税局の指摘事例を踏まえて解説します。
1.関係会社に対する売掛金の回収期日の延長と移転価格税制
台北国税局は、多国籍企業の多くが内外の関係会社の経営に必要な資金を提供する目的で、当該関係会社との間の販売により生じる売掛金の回収期間を延長しているとみています。
関係会社に対する売掛金の回収期間を延長し、関係会社の経営に必要な資金を提供する場合、移転価格税制における「資金の使用」に該当します。売掛金の回収期間の延長により本質的には貸付金とし計上すべき受取利息を認識せず、台湾における納税義務を回避または減少させた場合には、移転価格税制により、国税局より受取利息を認定されることがあります。
2.台北国税局の指摘事例
台北国税局がA社の営利事業所得税移転価格案件を調査したところ、A社は海外関係会社のB社へ物品を販売しており、その売掛金が252日を超えて未回収であることを発見しました。一方、A社の非関係会社への物品販売による売掛金の回収期間は20日から90日でした。台北国税局は、この非関係会社への販売における回収期間を比較対象となる独立企業間取引として、A社のB社に対する売掛金の回収遅延を「資金の使用」と認定し、回収遅延売掛金を算定し受取利息の増額調整による追徴課税をしました。
3.まとめ
営利事業者は内外関係会社の経営に必要な資金を補うため、関係会社の売掛金の回収期間を延長し、それが非関係会社に対する売掛金の回収期間と比較して著しく長い場合は、移転価格の観点で、国税局から追徴課税される恐れがあります。関係会社と非関係会社との売掛金の回収期間の差について、移転価格の観点での税務リスクがあることにご留意ください。
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