ニュース その他分野 作成日:2018年11月2日_記事番号:T00080188
月間5大ニュース【1位】プユマ号脱線で死者18人、台鉄の組織問題あらわに
21日夕方、新北市の樹林発台東行きの台湾鉄路(台鉄)の特急列車プユマ(普悠瑪)号が宜蘭県で脱線、横転し、18人が死亡、187人がけがをした。台鉄の過去37年で死者数最多の大惨事となった。
事故車両はW字型に折り重なるようにして脱線し、8両のうち約半数が横倒しになった(中央社)
原因は、時速約140キロメートルの高速で急カーブに進入したことで、速度超過を防ぐはずの自動列車防護装置(ATP)がオフになっていた経緯が事故調査の焦点になっている。通信記録によると、事故列車は遅延、動力系統に異常がみられるまま、運転士が運転指令所と連絡を取りつつ、運行を続けていた。
台鉄は、故障の頻発、慢性的な保守要員不足、運転士の超過勤務、23年にわたる運賃引き上げ見合わせなど、構造的な問題が次々と指摘された。台鉄は30日よりATP対策として、プユマ号とタロコ(太魯閣)号の運転士2人体制を暫定導入した。
故障のある列車運行を続けざるを得なかった運転士には、同情的な見方も出ている。運転士は業務上過失致死傷容疑で逮捕後、保釈された。31日には死者16人の合同告別式に参列し、遺族らに向かってひざまずいて謝罪した。ある遺族は、運転士を責めるのでなく励まし、共に真相究明を求めようと呼び掛けた。
現在、行政院に設置された事故調査委員会が調査を進めており、3カ月以内に結果が公表される。
【2位】深澳火力発電所、再生計画が中止
2007年に閉鎖された深澳石炭火力発電所(新北市瑞芳区)を、出力120万キロワット(kW)の超々臨界圧石炭火力発電所として再生する計画の中止が12日発表された。
侯友宜候補。有権者の大部分が、深澳発電所の中止決定による投票行動への影響はないとしている(中央社)
政府は同発電所に北部の電力不足解消への貢献を期待していたが、新北市政府や一部住民が大気汚染を招くとして反対。新北市長選挙では国民党の侯友宜候補が政府批判の最大の材料として運動を繰り広げた。建設中止の決定は、台湾中油(CPC)の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設計画が環境影響評価委員会大会(環評大会)を通過し、台湾電力(台電、TPC)大潭発電所に今後設置される発電機への天然ガス供給に一定のめどが立ったためだが、政治的な思惑をうかがわせた。
世論調査によると、建設中止決定後も侯候補が民進党の蘇貞昌候補を大きくリードする情勢に変化はない。
【3位】太陽電池最大手URE誕生、厳しい船出
太陽電池大手3社の合併で聯合再生能源(ユナイテッド・リニューアブル・エナジー、URE)が18日、誕生した。モジュールや太陽光発電所までの垂直統合で、2020年の黒字転換を目指す。ただ、中国政府が6月に補助金を大幅削減し市況が冷え込む中での厳しい船出だ。
URE董事長には、洪伝献ネオソーラー董事長(中)が就任した(中央社)
UREは、新日光能源(ネオソーラーパワー、NSP)が昱晶能源科技(ジンテック・エナジー)、昇陽光電科技(ソーラーテック・エナジー)を合併し、社名変更した。昨年10月の発表当時は、生産能力5ギガワット(GW)で世界5位に浮上する上、政府からも出資を受け入れ、高い技術力で世界に挑む構想だった。
しかし太陽電池業界は、最大手だった茂迪(モテック・インダストリーズ)、シリコンウエハー最大手の緑能科技(グリーン・エナジー・テクノロジー)など複数の企業で100~300人規模の人員削減が相次ぐほどの不況に陥っている。
【4位】国瑞汽車「無給休暇」2700人、台湾生産車の低迷反映
トヨタ車などを台湾市場向けに生産する国瑞汽車が10月より、景気を理由に労使協議の上で労働時間を削減する「無給休暇」を開始した。工場勤務の2,700人余り、全従業員の約7割が対象だ。輸入車人気に押され、台湾生産車は9月の販売シェアが51.5%と、10年前の80%から大幅に低下しており、生産調整を余儀なくされた。
今年の生産台数は10万台の見込み。最盛期は台湾向け20万台、中東などへの輸出8万~9万台だった。
同社に出資しているトヨタと台湾総代理店の和泰汽車は、近年人気のSUV(スポーツ多目的車)の台湾生産や、中東以外の輸出先開拓などで、支援する構えだ。
【5位】株価暴落、1年5カ月ぶり1万ポイント割れ
10月は米長期金利上昇や、米中貿易戦争に伴う世界経済の減速懸念から、世界的に株安が進んだ。台湾では11日、加権指数が前営業日比660.72ポイント(6.31%)と過去最大の下落幅となり、終値は9,806.11ポイントと1年5カ月ぶりに1万ポイントを割り込んだ。
10月は証券会社の株価ボードが全面下落の緑一色となる光景が頻繁にみられた(中央社)
株価はその後も調整を続け、26日終値は9,489.18ポイントと9,500ポイントを割り込み、10月の下落幅は13.8%に達した。米中貿易戦争はさらなる激化が見込まれており、来年の株式市場の動向には慎重な見方が増えている。
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