ニュース その他分野 作成日:2019年4月3日_記事番号:T00082831
KPMG 分かる台湾会計営利事業所得税(法人税)では、税務上の繰越欠損金をその後の年度の課税所得から控除するためには「会計帳簿の完備」が要件の1つとなります。過少申告や申告漏れがある場合に、「会計帳簿の完備」を否認されることがあります。今回は会計帳簿の完備と繰越欠損金の控除について解説します。
1.繰越欠損金の控除要件
税務上の繰越欠損金に関しては、会社の会計帳簿を完備した上で、欠損計上年度および控除年度ともに会計士の税務監査を受けるか、または許可を得て青色申告書を使用して、期限内に確定申告をした場合にのみ繰越控除が認められます。この繰越期間は最大10年です。
2.過少申告・申告漏れによる「会計帳簿の完備」の否認
税務調査による過少申告・申告漏れの指摘において、追徴税額および修正所得額が一定額(割合)を超える、もしくは虚偽またはその他不正な方法が指摘される場合には、過少申告・申告漏れの状況が軽微でないとされ、会計帳簿の完備を否認される可能性があります。その場合には繰越欠損金の控除ができません。
上記一定額は追徴税額10万台湾元(約36万円)かつ所得修正額の修正後年間課税所得額に対する割合が5%を超える場合とされ、税務調査によらず自主的に修正申告した場合には、税務調査により指摘される場合の2倍(追徴税額が20万元かつ所得修正額の修正後年間課税所得額に対する割合10%)になります。
3.台北国税局の指摘事例
A社は2017年度営利事業所得税確定申告において、年間所得額150万元に対して、前10年以内の欠損金120万元を控除していました。
その後の税務調査により、売上高過少による所得額100万元の申告漏れの指摘を受け、当該過少申告所得額に対する所得税額が17万元で10万元を超え、かつ過少申告所得額の修正後年間課税所得額に対する割合が40%(過少申告所得額100万元÷修正後年間課税所得額250万元)と5%を超過しているため、会計帳簿の完備が否認され、申告において利用していた繰越欠損金の控除が認められないと査定されました。
4.まとめ
会計帳簿の完備は、営利事業者が繰越欠損の控除を利用する際に満たさなければならない基本要件です。過少申告・申告漏れがある場合に、会計帳簿の完備を否認される恐れがありますのでご留意ください。
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