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第157回 交際費と広告費の区分


ニュース その他分野 作成日:2019年5月8日_記事番号:T00083407

KPMG 分かる台湾会計

第157回 交際費と広告費の区分

 交際費と広告費はいずれも主に販売活動に用いる支出です。税務上の取り扱いが異なるものの、内容が似ている部分もあり、どちらで処理すべきか判断に迷う場面があるかと思います。今回は交際費と広告費の区分について解説します。

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1.交際費と広告費

 交際費は、取引先などの「特定人」との業務上の良好な関係構築を目的として支出する費用であり、会食での接待費や贈答品の費用などが該当します。日本で一般に会議費として処理される「1人当たり5,000円以下の飲食などの費用は交際費に含めない」のような金額基準は台湾にはありません。また、日本の社内交際費に相当する費用は台湾では交際費ではなく、一般的に福利厚生費として処理されます。交際費については、営利事業所得税法上で売上高や仕入高などの比率に基づく損金算入限度額が定められ、営業税法上の仕入税額控除の対象にもなりません。

 一方で、広告費は、各種の宣伝活動など、「不特定人」を対象として企業や商品のイメージや知名度の向上などを目的に支出する費用であり、営利事業所得税法上での損金算入に上限はなく、営業税法上仕入税額控除の対象になります。

2.台北国税局の指摘事例

 医薬品の卸売業を営むA社は、営利事業所得税の確定申告において、広告費1,000万台湾元を計上しました。

 その後の国税局による税務調査において、広告費のうち800万元は、海外で行われた学会に台湾内の専門領域の医師を招待した費用であることが発見されました。これは、医師に学会で医薬品に関する新しい知識を得てA社の製品を理解してもらい、製品の販売促進をすることを目的としたものでしたが、国税局は特定の医師の招待費用であるとして、交際費と判断しました。この費用は広告費から交際費へと調整され、交際費の計上限額を超過した部分は損金不算入となり、追徴金および利息が課されました。

3.まとめ

 交際費と広告費は、支出の性質および対象が「特定」または「不特定」であるかによって判断されます。税務上の取り扱いが大きく異なりますので適切に判断することが必要です。また、台湾と日本では、会議費や社内交際費の扱いなど、交際費の内容が一部異なる部分がありますのでご留意ください。

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