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第158回 税務上の損金計上要件


ニュース その他分野 作成日:2019年5月22日_記事番号:T00083667

KPMG 分かる台湾会計

第158回 税務上の損金計上要件

 税務上の損金は、大原則として会社の事業とその付属業務に関連して発生した費用や損失であることが必要ですが、その範囲については判断が難しいケースがあります。今回は会社の業務範囲とは無関係に生じた費用であるとして、国税局から損金算入を否認されたケースを紹介いたします。

1.損金の計上要件

 税務上の所得は、当年度の収益総額から各種の費用や損失を差し引いて計算します。この費用や損失は、収益と対応する合理的なもので、会社の事業やその付属業務に関連して発生したものである必要があります。そのため、費用損失発生の原因が、会社の収益獲得活動より発生したものでないと判断される場合には、損金として算入できません。

 その他、各種税金の延滞金、加算金、過料などや家庭の費用も損金計上要件を満たしません。

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2.北区国税局の指摘事例

 A社は、B社に仲介サービス契約に基づくサービスを提供し、そのコミッションとして600万台湾元を収益計上していました。しかし、収益計上から3年後に、両社は契約時からの遡及(そきゅう)解除に合意しました。A社はコミッション600万元は受け取り事由がなくなったとして、B社に返金し、同額を解除年度のその他損失として計上・申告しました。

 その後A社に対する税務調査で国税局は、既にサービスの提供が完了しているため、報酬受領当時から存在している瑕疵(かし)はなく、契約解除の法定事由がないことから、返金義務は認められないと指摘しました。その結果、B社に対する返金は当初の収益計上とは無関係にB社の債務を免除したものであり、A社の収入を生じさせる活動により発生したものではないとされ、当該600万元全額の損金計上が否認されました。

3.まとめ

 会社の事業関連費用であっても、通常の事業からは想定されない損失が計上されている場合などは、国税局からの問い合わせを受ける可能性が高くなります。会社の事業との関連が分かりづらい費用を損金計上する際には、その関連性を説明するための資料や証憑(しょうひょう)類を備えておくことが望ましいです。

 本稿に関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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