ニュース その他分野 作成日:2019年7月17日_記事番号:T00084670
KPMG 分かる台湾会計営利事業所得税(法人税)は、税務上の繰越欠損金をその後の年度の課税所得から控除する場合、「会計帳簿の完備」が必要です。第155回(https://www.ys-consulting.com.tw/news/82831.html)では、過少申告や申告漏れにより、会計帳簿の完備が否定されるケースについて解説しましたが、今回は証憑(しょうひょう)の保管と会計帳簿の完備の関係について解説します。
1.会計帳簿の完備と繰越欠損金の控除
会計帳簿の完備とは、営利事業所得税額を正確に計算するために、税法などの関連規定に基づき会計記録を作成し、関連証憑を取得して保管することを指します。税務上の繰越欠損金の控除は、会社の会計帳簿を完備した上で、欠損金の計上年度と控除年度ともに会計士の税務監査を受けるか、許可を得て青色申告書を使用し、期限内に確定申告をした場合にのみ認められます。
2.証憑の取得漏れによる「会計帳簿の完備」の否認
税務調査により、会社が取引対象から取得すべき証憑の未取得または未保管の指摘を受け、かつ、当該金額が一定額(割合)を超える場合には、不備の状況が軽微でないとされ、会計帳簿の完備を否認される可能性があります。
上記一定額は、当年度の仕入れ、費用、損失について、取得、保管していない法定証憑が120万台湾元を超え、かつ、取得すべき証憑の総額に占める比率が10%を超える場合とされています。
3.台北国税局の指摘事例
A社が2017年度における仕入れ、費用、損失について、関連規定に基づき取得、保管すべき証憑の総額は2,000万元でした。
その後、当該年度を対象とした税務調査で、300万元の証憑の未取得を指摘されました。この金額は、取得、保管すべき証憑の総額2,000万元の15%となり、不備の状況が軽微と見なされる限度を超過しているため、会計帳簿の完備が否認され、申告で利用していた繰越欠損金の控除が認めらませんでした。
4.まとめ
仕入れ、費用、損失について、適切な証憑を取得、保管していない場合は、営利事業所得税の申告で損金算入できません。また、その程度が軽微でないと見なされると、会計帳簿の完備自体が否認される可能性がありますのでご留意ください。
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