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第164回 外国税額控除の帰属年度


ニュース その他分野 作成日:2019年8月21日_記事番号:T00085317

KPMG 分かる台湾会計

第164回 外国税額控除の帰属年度

 営利事業所得税(法人税)では、同一所得に対する台湾と外国での二重課税を排除する目的で外国税額控除の制度を設けています。今回は外国税額控除の帰属年度について解説いたします。

1.外国税額控除

 台湾法人は、台湾所得と外国所得を合算した全所得に対して、台湾で営利事業所得税を納付する必要があります。ただし、同一所得に対する台湾と外国での二重課税を排除する目的で、既に海外で外国法人税を納付している場合、一定額(外国税額控除限度額)を限度として、当該外国法人税額を台湾の営利事業所得税から控除できる外国税額控除という制度があります。

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2.帰属年度と必要書類

 外国税額控除の手続きには、外国法人税を納付した国・地域の税務機関から発行された同一年度の納税証憑(しょうひょう)が必要になります。「同一年度」の納税証憑とは、台湾法人が発生主義に基づき計算する外国所得の帰属年度と同一の年度を指します。台湾での確定申告時に、同一年度の納税証憑の提示ができない場合には、外国税額控除を実施せずに納付した税額の納付日から5年以内であれば還付申請が可能です。

 なお、外国税額控除の計算は、外国所得に台湾での法人税率20%を乗じることにより計算されます。計算の元となる外国所得は、外国「収益」ではなく、外国収益総額から関連費用を差し引いた後の外国「所得」になります。

3.台北国税局による設例

 A社はx1年度に総額100万台湾元の外国技術サービスを提供し、x2年5月のx1年度確定申告において、発生主義に基づき当該外国技術サービス収益100万元から関連費用30万元を差し引いた外国所得70万元(100万元-30万元)に、国内所得200万元を合わせた合計所得270万元(70万元+200万元)に対して、54万元(270万元×台湾法人税率20%)の営利事業所得税を納税しました。

 x2年7月に当該外国技術サービス報酬を受領し、当該外国の税法規定に基づき25万元の外国法人税を納付し、納税証憑を取得しました。この場合、A社は台湾の所轄国税局へ、外国税額控除を適用せずに申告納付したx1年度営利事業所得税の過大納税額の還付申請ができます。なお、還付額は、実際の外国税額25万元と外国税額控除限度額14万元(外国所得70万元×台湾法人税率20%)の低い金額である14万元になります。

4.まとめ

 外国税額は、外国所得が発生した年度の営利事業所得税から控除できます。もし、外国所得が発生した年度に国内所得がマイナスで全体として営利事業所得税が生じていない場合、たとえ翌年度以降に国内所得が発生して納税が発生したとしても、前年度以前に発生した外国所得に対する外国税額は控除できませんのでご留意ください。

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