ニュース その他分野 作成日:2019年11月6日_記事番号:T00086716
KPMG 分かる台湾会計台湾では、台湾法人が発行した株式(有価証券化された株式)の取引により生じた損益については営利事業所得税の徴収が停止されていますが、一定の場合には納税が必要になるケースもあります。今回は、台湾法人が、他の台湾法人発行の株式を売却した場合において発生する税金について解説します。
1.証券売買所得の税徴収停止
台湾法人発行の有価証券化されている株式の売却損益については、営利事業所得税の徴収が停止されています。そのため、台湾法人が他の台湾法人の株式を売買した場合、売却利益は所得計算において加算されないとともに、売却損失も所得から差し引くことができません。従って、多くのケースでは台湾法人の株式売買において、売買価格の0.3%で計算される売主負担の証券取引税のみ発生します。
2.最低税額制度
上述の通り、台湾法人発行の株式売却損益は営利事業所得税の徴収が停止される一方で、最低税額制度が制定されています。最低税額制度では、優遇処置などを適用し計算された一般所得(通常の営利事業所得)に、株式の売却所得等の徴収停止になっている所得額の他、一定の租税優遇により免税となった所得額を加算し、50万台湾元の控除額を減算した基本所得額を算定します。そして基本所得額に12%を乗じて計算した基本所得税額が、税優遇処置を適用して計算された一般所得税額を上回る場合に差額を追加納税する必要があります。
そのため、台湾法人発行株式の売却益がある場合、売却益を加味して計算した基本所得税額が一般所得税額を上回る場合には、追加の納税が必要になります。
3.台北国税局の設例
A社は×1年度の税務申告において、課税対象所得額を0元と申告していました。しかしその後の国税局の税務調査において、×1年度に売却していた台湾法人B社株式の証券取引所得4,450万元が基本所得額へ加算されておらず、基本税額の過少申告があることが発見されました。国税局は所得基本税額条例の規定に違反しているとして、税額528万元=(4,450万元-50万元)×12%を追徴した他、当該条例の規定により罰金を科しました。
4.まとめ
台湾の会社法では、株式不発行も選択することができます。不発行の株式(有価証券化されていない株式)を譲渡した場合には、財産取引による所得として営利事業所得税の課税対象となりますのでご留意ください。なお、株式不発行のままの譲渡した場合には、証券取引税の課税はありません。
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