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第171回 旅費の損金計上


ニュース その他分野 作成日:2019年12月4日_記事番号:T00087243

KPMG 分かる台湾会計

第171回 旅費の損金計上

 旅費に関しては、税務当局から、出張と会社業務の関連性について説明を求められるケースがあります。今回は、旅費の損金計上における留意点について説明いたします。

1.旅費の損金計上

 税務上の損金は、大原則として会社の営業かその付属業務に関連して発生した費用と損失であることが必要です。そのため旅費を損金計上するには、旅費が営業と関係して発生した費用であることを説明する必要があります。

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 法令上では、旅費の計上の際、統一発票(公式レシート)などの支出を証明する証憑(しょうひょう)に加え、日ごとの出張先や訪問対象、内容などを詳しく記載した出張報告書と関係書類を備え置く必要があると定められています。

2.北区国税局の事例

 A社は営利事業所得税(法人税)の確定申告時に200万台湾元余りの旅費を計上しました。旅費に関する出張報告書には、出張者Bが上海に出張し、顧客と製品の色と型式について検討した旨が記載されていましたが、関連する証憑が添付されていませんでした。

 税務調査でA社は、旅費はBが会社の業務マネージャーとして上海で商談を行った時のものであると主張しました。しかし国税局は、▽Bが上海にあるC社のオーナー兼代表者であること▽Bの当該年度の上海滞在日数が230日余りと長期間であること▽Bの仕事と生活の拠点が上海であること▽Bが提示した出張報告書はスケジュールを簡略に説明しているのみで、A社の営業活動との関連性を説明するに足る書類の提出がないこと──を理由として、当該旅費を損金不算入としました。

 A社はこれを不服とし、再審査や訴願、行政訴訟を提起しましたがいずれも棄却され、最終的に最高行政裁判所で、A社敗訴の判決が確定しました。

3.まとめ

 税務上の損金計上は、会社の営業との関連性の証明が必要です。特に長期間の海外出張の場合や海外の出張先に関係会社がある場合には、出張費用のみならず出張者の給与や保険料を含めた人件費の損金計上可否が問題になりますのでご留意ください。

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