ニュース 商業・サービス 作成日:2019年5月16日_記事番号:T00083566
台湾産業ココがスゴイ台北市中山区の住宅街に、カフェのような外観ながら、足を一歩踏み入れると、書店、日本の古本屋、雑貨屋、喫茶店、レンタルギャラリー、イベントスペース、シェアオフィス…いくつもの機能を融合した交流スペース「田園城市生活風格書店」がありました。オーナーの陳炳槮(ビンセント・チェン)氏にお話を伺いました。
陳氏は60歳近いとは思えない若々しさで、話しているだけで元気がもらえます(YSN)
ちょっぴりマニアックな台湾本も
日曜日の午後、次々と来店客が訪れ、書籍を選んだり、絵画を眺めたり、講演会に参加したりと、皆が店内で思い思いの時間を過ごしています。「休日とはいえ、住宅街の本屋にこんなに人が来るものなのですか?」と尋ねると、「ちょうど文化関連の展示会を外でやっているから、人がそちらに流れてしまって、これでも少ない方だよ」と驚きのご回答。
思わず手に取りたくなる平積みの書籍(YSN)
陳氏が1994年に創業した田園城市文化事業という出版社が2004年にオープンしたのが「田園城市生活風格書店」。同社出版の書籍やイベントスペースの講演者が執筆した書籍などが並んでいます。
陳氏は廟(びょう)の門に配置されている仏像の紹介本を手に取り、「写真やイラストを多用し、見るだけでも楽しめるものが多いんだよ」。台湾語のさまざまな表現を説明した書籍など、ちょっぴりマニアックな品ぞろえの書籍を次々と紹介してくれました。台湾を深く知ることができそうで、観光客より台湾人や在台日本人が多いというのもうなずけます。
窓際のラックに並んでいるパンフレットのような薄い冊子は「未来の本だよ」。自費出版物も数多く陳列し、未来の作家を支援しています。
よく見ると、書籍を陳列している本棚はプラスチックの籠(かご)です。「常に新しさが求められる時代だから、市場のように新鮮な書籍を並べているんだ」。
新鮮な古本
新鮮な書籍というのは、日本の古本コーナーも同様。陳氏が2カ月に1回、訪日して東京の古本屋を回り、数百冊を買い付けています。「そんなに買って、どこの倉庫に保管しているのですか?」と尋ねると「いつも棚に並んでいる古本は違うよ」。というのも、陳氏が30年以上の出版業の経験とセンスで、台湾の読者のニーズをくみ取って仕入れた古本は、船便で送れど送れど売れてしまうとか。保存状態がよく、絵本や写真集など日本語が分からなくても楽しめそうなものばかり。もともと古本なので、手軽な値段で購入しやすい上、日本でもなかなか入手できないレア感も人気の秘密なのでしょう。
いつも新しい顔触れの古本が並んでいるとは、陳氏の目利きに脱帽です(YSN)
その日の棚に並んでいた一冊は『レストランのかえるくん』(アーノルド・ローベル作)。筆者が子供のころに読んだ「がまくんとかえるくん」シリーズを目にし、懐かしさがこみ上げてきました。
紙製ストローで一休み
同じ1階フロアにあるレンタルギャラリーでは香港の絵画の作品展が、地下1階では日本人の講演会が開かれていました。台湾人だけでなく、台湾在住、日本在住いずれの日本人による開催も多いとか。数週間にわたるイベントが多く、台湾の感度の高い人々を引き付けています。
見ているだけでも楽しい雑貨の数々(YSN)
ちょっと疲れたら、雑貨を眺めたり、喫茶で一休み。冷たい炭酸コーヒーやレモンコーヒーを注文してみたところ、ストローは紙製。その奥にあるオフィスは友人の会社なども席を並べているそう。こんなところでも時代の先端を走っているのですね。
独立書店と呼ばないで?
近年、従来型の書店が次々と閉店する中、個人経営や共同経営の個性派書店「独立書店」が続々と誕生していますが、陳氏は「『独立書店』とひとくくりにしないでほしい」と強く否定。「あ、以前イベントを開催した日本人女性2人組が来たよ。紹介しようか?」。そうですね。既存の書店の枠組みにとらわれず、陳氏のセンスと人柄で人が集い、人と人がつながる空間は他にありません。
ガラス張りで中が見えるので、初めてでも入りやすい雰囲気です(YSN)
次の週末は「田園城市生活風格書店」でリフレッシュしてみませんか。
ワイズメディア 青木樹理
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