ニュース その他分野 作成日:2019年12月27日_記事番号:T00087671
月間5大ニュース2018年の米中貿易戦争勃発を受けて、今年は電子業界などで台商(海外で事業展開する台湾系企業)による中国からの台湾への生産移転が加速した。台湾政府が今年開始した、ワンストップ型の台商Uターン投資促進プラン「歓迎台商回台投資行動方案」では、累計承認額が当初目標の2,500億台湾元を上回る7,116億元(約2兆6,000億円)に達した。このうち年内の投資実行額は2,260億元に上る見通しで、転注効果と並んで今年の経済成長をけん引した。
目標を大きく上回るUターン投資は、蔡政権1期目の成果として、来年1月の総統選挙でのアピール要素になっている(中央社)
同プランでは、▽土地▽雇用▽融資▽水力・電力▽租税──の各分野での優遇措置を講じ、サプライチェーン全体の台湾回帰促進を目的とする。年初来で164社の申請が承認され、5万8,322件の就業機会を創出する見通しだ。
承認額首位は、液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)の701億元。友達光電(AUO)も407億元で3位に入った。電子大手各社はサーバーなどハイエンド製品の台湾移転を進めると同時に、ロー~ミドルエンドのノートパソコンやスマート製品などの消費者向け電子製品の東南アジアへの生産移転も並行して進めている。
また、経済部は7月、中国に進出していない企業向けの台湾投資促進プラン「根留台湾企業加速投資行動方案」をスタートした。サーバーの米スーパーマイクロ・コンピューター(SMCI)の投資案200億元など、これまでに計34社、851億元が承認されており、就業機会6,085件を創出する見通しだ。また、中小企業向けの「中小企業加速投資行動方案」では、102社の447億元が承認され、就業機会4,344件の創出が見込まれる。
これら3プランの承認規模は合計300社、投資額8,414億元に上り、就業機会6万8,751件を創出する見通しだ。補助期限は5年間、実施期間は21年末までを予定する。
また、8月に施行された「境外資金匯回管理運用・課税条例」(海外資金送金特別法)による租税優遇措置を受けた台湾への資金還流も期待されており、11月末時点での申請額は318億元、送金額は167億元に達した。
12月中旬に米中貿易協議が第1段階合意に達したことなどで、来年のUターンの投資の落ち込みを懸念する声も出ている。ただ、多国籍企業の間では、リスク回避のため、米国向けと中国向けに別々の製造体系を構築しようとする動きが継続し、台湾は半導体業界を中心に「漁夫の利」を得る状況が続きそうだ。沈栄津経済部長は先週、今後3~4年の間は年間2,000億元規模のUターン投資が見込めると発言しており、来年も経済成長を下支えすることが期待されている。
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