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《新型肺炎》20年2月の5大ニュース


ニュース その他分野 作成日:2020年3月4日_記事番号:T00088652

月間5大ニュース

《新型肺炎》20年2月の5大ニュース

【1位】《新型肺炎》新型ウイルスに先手、感染対策で評価

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染が台湾でも広まる中で、中国との往来制限、マスク実名制販売や増産など、台湾政府は感染拡大抑制に次々と政策を打ち出した。感染地域に直近14日に渡航歴があれば入境後の外出制限を設けるなど、ビジネスや観光に打撃を与える政策もあったが、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時に対応の遅れから死者84人を出した苦い経験もあり、企業や市民は協力的で、2月末時点の感染者数は39人と、急増を食い止めた。

/date/2020/03/04/00tsai_2.jpg蔡英文総統が26日、感染予防対策を最優先とし、5月の2期目記念式典準備を見合わせると表明したことで、多くの人が集まる宗教行事やイベント自粛も相次いだ(蔡総統フェイスブックより)

 台湾政府の先手先手の感染防止対策は、日本台湾交流協会の泉裕泰台北事務所代表をはじめ、日本の市民からもメディアからも称賛された。

【2位】《新型肺炎》新型ウイルス感染29人増加、市中感染拡大に警戒感

 台湾の新型コロナウイルス感染者は2月に29人増え、3月3日時点で累計42人(うち1人死亡)となった。感染症対策本部の中央流行疫情指揮中心(センター)は29日、台湾域内感染症例が輸入症例を上回り、感染経路が特定できない事例が3例に上るとして、市中感染拡大を示す「市中伝播(でんぱ)」への警戒感を示した。

/date/2020/03/04/20chen_2.jpg武漢から退避した男性の感染確認で涙ぐむなど、連日の記者会見で見せる同センター指揮官の陳時中衛生福利部(衛福部)長の姿に、市民は勇気づけられた(中央社)

 15日に死亡した60代男性(第19例)はいわゆる白タク運転手で、客として乗車した浙江省から帰台した台商(台湾系企業)関係者から感染したことを突き止めた。

 一方、29日には初の院内集団感染が発生し、3日までに同病院の院内感染は累計7人に増えた。感染拡大防止は3月が正念場となりそうだ。

【3位】《新型肺炎》観光業の損失5千億元も、訪台客の多い地域で感染拡大

 観光業界は大打撃を受けている。中国・香港に続き、日本、韓国など訪台客が多い地域で、新型コロナウイルス感染が広がり、往来制限などの水際対策が取られている上、外出や旅行自粛ムードが広がっているためだ。産業界からは、感染拡大が3カ月以上続けば、観光業の損失は5,000億台湾元(約1兆8,000億円)との懸念が示された。

 航空各社は欠航、減便が相次ぎ、中華航空(チャイナエアライン)は2月だけで約1,400便(全体の23%)の運航を取り消した。日本や韓国の海外旅行感染症情報レベル引き上げで、花見シーズンを前に、旅行会社のツアー取り消しも3~4割に上る見込みだ。

 インバウンドも激減し、国際ブランドの一部観光ホテルは客室稼働率が30%まで低下した。台北101購物中心(台北101モール)をはじめ百貨店業は前年同月比2~3割の減収となった。

【4位】《新型肺炎》マスク不足、実名制販売に行列

 新型コロナウイルス感染拡大で医療用マスクの買い占めや転売を防ぐため、政府は6日より、台湾全土の特約薬局での全民健康保険カード(健保カード)提示による実名制(本人確認)販売を開始した。薬局の前には連日多くの人がマスクを求めて行列を作った。

/date/2020/03/04/09mask_2.jpg購入を待つ行列での感染を心配する声も上がった(中央社)

 各薬局のマスク在庫データをインターネット上で公開すると同時に、マスク生産ライン増設を進めた。マスク日産能力は400万枚から3月中旬に1,100万枚、4月初旬に1,300万~1,400万枚まで増える見通しだ。台湾の人口は2,360万。

【5位】《新型肺炎》新型ウイルスで中国生産停滞、台湾製造業に明暗

 中国政府による新型コロナウイルスの感染対策措置を受けて、台商(台湾系企業)の中国工場でも春節(旧正月、2020年は1月25日)連休後の稼働再開が、2月10日以降にずれ込んだ。順次稼働を再開しているものの、都市の封鎖措置による交通遮断や隔離措置により従業員の職場復帰が遅れている。サプライチェーン断絶のリスク回避のため、米中貿易戦争で進んでいた台湾や東南アジアへの生産移転が加速しそうだ。

 鴻海精密工業は、自社でのマスク生産や、従業員への職場復帰奨励金で回復を急いでいる。鴻海など受託生産大手の生産が遅れれば、アップルのスマートフォンiPhoneをはじめ、新機種・新製品発売スケジュールも狂う可能性がある。

 一方、液晶パネルは、中国メーカーの生産量減少で供給過剰が解消。受動部品などは台湾メーカーに緊急受注が舞い込んでいる。

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