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《新型肺炎》第45回 テレワークが押し上げ? 全聯のモバイル決済「PXペイ」


ニュース 金融 作成日:2020年4月27日_記事番号:T00089654

台湾産業ココがスゴイ

《新型肺炎》第45回 テレワークが押し上げ? 全聯のモバイル決済「PXペイ」

 ワイズニュース読者の皆さま、モバイル決済、使っていますか?悠遊カード(イージーカード)があれば十分と、及び腰だった筆者も、とうとうモバイル決済デビューを果たしました。

/date/2020/04/27/20mobile_2.jpg新型コロナウイルス感染の拡大で、スーパーの利用者が増えています(YSN)

低い心理的ハードル

 きっかけはテレワーク(リモートワーク、在宅勤務)。新型コロナウイルス感染リスク低減のため、ワイズニュース編集部は2月より1週間ごと交代制のテレワークを導入し、オフィス勤務でも正午~午後1時の昼食時間の外出を自粛しています。そのため、自宅での自炊や、デスクでの持参弁当の食事がめっきり増えました。

 食材の買い物のために、会社帰りに立ち寄るスーパーマーケット最大手、全聯福利中心(PXマート)のレジで毎回、会員カードの有無を尋ねられたことから、全聯の公式アプリ「PXペイ」をダウンロード。電話番号とパスワード、認証コードと指紋認証だけで登録が完了。続いて、氏名やメールアドレスなどの個人情報を入力すれば、会員カード「福利卡」が完成し、早速100ポイント(10台湾元=約36円相当)が付与されました。

 会員カード目当てで、クレジットカード情報を入力する必要がないという心理的ハードルの低さが理由か、「PXペイ」は昨年5月リリースと後発組ながら、今年4月15日時点でダウンロードは600万件を突破しました。台湾の人口は2,360万人(https://www.ys-consulting.com.tw/news/89626.html)ですので、4人に1人が使っている計算です。

年齢のバロメーター?

 実は昨秋にもモバイル決済を始めようと、別のアプリをダウンロードしたものの、クレジットカード情報を入力することに抵抗を覚えて登録をやめた経緯があります。

 当時、周りの台湾人女性にリサーチしたところ、20代「ラインペイ。すごく便利!」、40代「アップルペイ、街口支付(JKOPAY)、セブン-イレブン、全家便利商店(台湾ファミリーマート)の全部。ラインペイは乗っ取りが怖いから使っていない」、50代「使ったことがない」、60代「使っていない」という結果でした。あれ、モバイル決済は年齢のバロメーター?

 同年代の友人はというと、台湾人女性「アップルペイ。クレジットカードを出さずにスマートフォンで支払えるので、財布を持ち歩かなくていいのが便利」、日本人女性「ポイントがお得と言って台湾人の同僚が皆、街口支付を使っているから街口支付。皆と同じなら、食事に行った時に精算しやすい。そういえば、会社にお財布を忘れた時に、恥を忍んで同僚に借りずに済んだのが良かった」なんて話していました。

シンプルなインターフェース

 そこまで言われても踏み切れなかった慎重で心配性な筆者は、当初「PXペイ」を単なる会員カード代わりに。

 レジで「PXペイ」を起動し、スマホ画面の青いマーク(会員カード)をタッチして指紋認証でQRコードを生成し、店員にQRコードを読み取ってもらい、現金で支払っていました。すると、簡単にポイントがたまり、わずか数回の買い物で「ポイントで端数は割引しておきますね」なんて言われるように。買い物の明細はアプリで確認できるだけでなく、メールでも届くので分かりやすい。

/date/2020/04/27/20mobile2_2.jpg統一発票(公式レシート)の賞金くじの当選金をチャージすれば、ポイントがプラスされお得です(YSN)

 慣れたところでやっと、クレジットカードをひも付けしてみました。レジで今度は、赤いマーク(クレジットカード)をタッチして指紋認証でQRコードを生成し、店員に読み取ってもらうだけ。これまでの現金で支払うのとほぼ同じ方法で、現金の受け渡しのステップがなくなり、本当に楽ちん。指紋認証なので自分しか使えないし、生成されたQRコードは5分間の時間制限があるので、安心して使えます。

中高年の普及に一役

 資訊工業策進会(資策会)産業情報研究所(MIC)の調査によると、台湾の昨年モバイル決済普及率は62.2%。年齢別では▽46~55歳、77.6%(31.2ポイント上昇)▽55~65歳、52.9%(11.5ポイント上昇)──が大きく伸びています。

 最もよく使うモバイル決済はラインペイ(26~35歳のみ街口支付)、2位は18~25歳と36~45歳が街口支付ながら、46~65歳はなんとPXペイ。

 使ったことがあるモバイル決済でも、▽ラインペイ、59.6%▽街口支付、40.7%▽PXペイ、32.6%──とPXペイは3位にランクイン。

 PXペイが中高年のモバイル決済を後押ししているようです。ちなみに筆者は46~65歳の年齢層より若いですので、お間違えなく!

 もちろん「PXペイ」も、会員カードやモバイル決済だけでなく、電子マネーのチャージや送金、ポイントの移動などのさまざまな機能があります。アプリを使って、お得なまとめ買いの分割受け取り、箱買いもできます。全聯といえば、医療用マスクの実名制(本人確認)販売の受取店舗にも加わりました。

 新型コロナウイルス感染予防のため、現金のやり取りを控えたい、食品や日用品を宅配してほしい方にも役に立ちそうです。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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