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第48回 安心旅行先もう決めた?バラエティー豊かな奇美博物館


ニュース 商業・サービス 作成日:2020年7月23日_記事番号:T00091184

台湾産業ココがスゴイ

第48回 安心旅行先もう決めた?バラエティー豊かな奇美博物館

 新型コロナウイルスの台湾域内感染の新規確認ゼロが続き、域内旅行が大人気。同僚によると、夏休みシーズンだけでなく、暑さの和らぐ行楽シーズンの10月ごろも予約が取りにくい状況だとか。そこで夏季の旅行先として、クーラーが効いているので熱中症の心配なく、台湾高速鉄路(高鉄)台南駅からタクシーやバスで約15分と近いため各地から泊まりがけでも日帰りでも訪れやすい奇美博物館(台南市仁徳区)をご紹介します。

/date/2020/07/23/2007qimei1_2.jpg欧州を思い起こさせる建物と橋がかかる広大な庭園。木陰でくつろぐ市民の姿も(YSN)

音楽愛好家の殿堂

 奇美博物館は、台湾が誇る実業家、奇美実業創業者の許文龍氏らが集めたコレクションを展示しています。1階には▽ロダンなどの彫刻▽動物の剝製▽兵器──、2階には▽絵画▽楽器──と、バラエティー豊かな展示物が盛りだくさん。筆者が訪れた先月は影をテーマにした珍しい特別展もありました。これだけ幅広く豊富なテーマであれば、趣味が異なる家族や友人同士で訪れても、誰もが満足度高く楽しめます。

 楽器の演奏をたしなむ筆者のお目当ては、もちろん楽器の展示。バイオリン展示室やバイオリン工房の再現も見応え十分ですが、その隣にある世界の民族楽器の展示室の充実度に驚きました。

/date/2020/07/23/2007qimei3_2.jpg許文龍氏は自らバイオリンやマンドリンも演奏されます(YSN)

 アジア、欧州、米州、オセアニア、アフリカと世界各地の弦楽器、管楽器、打楽器などが所狭しと並んでいます。インターネットで何でも見たり聞いたりできる時代ですが、リアルに自分の目で見比べると、質感や大きさがよく分かります。それぞれの地域で独自の発展を遂げた楽器の違いや、共通点を発見するのも面白いですね。

 当日予約で時間指定、人数制限ありの自動演奏楽器の実演コーナー(約20分)も見学しました。自動演奏楽器の実音を聴きながら、大掛かりな自動演奏楽器でも、数分の音楽しか再現できないと説明を受けました。今やスマートフォン一つで音楽が持ち運べる時代ですが、CDやカセットテープ、レコードが登場するよりずっと以前、王侯貴族が音楽家を雇って生演奏を聴いていた時代に、自動演奏楽器の発明はさぞ画期的だったことだろうと思いを馳(は)せました。

オーケストラをガン見?

 最後に見学したのが、こちらはハイテクを駆使した国家交響楽団(NSO)の体験コーナー。オーケストラの第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロ、管楽器、パーカッションなどの楽器がオーケストラの舞台での配置と同様に並べられています。各パートの楽器の隣には、演奏者を等身大で表示するディスプレイがあります。われわれ入館者は指揮者の場所でスタンバイ。

/date/2020/07/23/2007qimei2_2.jpg通常のコンサートでこんなに間近なら、演奏者の息遣いまで聞こえてきそうです(YSN)

 開演時間になると、まずディスプレイの中の演奏者がチューニングを始めます。その後、曲がスタート。曲が始まると同時に楽器を奏で始めるパート、数小節後に演奏に加わるパート、休符でじっとしているパートと、曲を聴きながらどの楽器のパートの演奏者がどんな音を出しているのかが分かる仕組みです。曲が終わると、見学していた来館者から自然と拍手が沸き起こりました。

 演奏終了後には、気に入った音色の楽器を遠慮なく間近で観察したり、楽器の名前を確認したり、説明文を読んで知識を得ることもできます。

 お固い雰囲気で、見るだけの博物館や美術館とは異なり、親しみやすく、自然と学ぶことができる奇美博物館。1992年に開館し、以前は予約が必要でしたが、2015年1月に新館としてリニューアルオープンし、18年4月から予約不要となりました。入館料は一般200台湾元(約730円)など。

 1日では見終わらないと聞いていましたが、まさにその通り。コインロッカーもありますので、身軽になって、レトロな内装の2階のカフェ「信息咖啡(カフェメッセージ)」で窓の外の庭園を眺めて休憩しつつ、のんびり気ままに過ごすとよさそうです。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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