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第179回 外国への派遣人員の給与


ニュース その他分野 作成日:2020年5月6日_記事番号:T00089803

KPMG 分かる台湾会計

第179回 外国への派遣人員の給与

 台湾の日系企業においても、中国やその他の海外の関係会社に従業員を派遣しているケースがあります。今回は、台湾法人から海外の関係会社に従業員を派遣している場合の、従業員人件費の税務上の取り扱いについて説明します。

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1.海外企業へ従業員を派遣している場合の人件費の取り扱い

 税法上は、本業および付属業務に関連する項目のみが、損金算入可能とされています。

 そのため、派遣従業員の人件費を派遣元である台湾法人が負担するケースで、当該従業員の業務が派遣元の台湾法人の事業に貢献している場合は、その人件費を台湾法人が負担することに合理性があり、損金算入が可能と考えられます。他方、派遣従業員の業務が派遣元の台湾法人の事業に貢献していると言えない場合には、その人件費負担は合理性がなく、損金算入が認められません。

2.台北国税局の指摘事例

 台湾のA社は確定申告で、香港の関連会社へ派遣した従業員の給与や食事手当、関連業務費用など合計800万台湾元を計上していました。しかし、その従業員の業務の成果は、香港法人の業績に貢献するものであり、台湾法人の事業に帰属していませんでした。また、香港法人からは、当該従業員派遣に関する役務報酬の受領もしていませんでした。そのため国税局は、これらの費用は台湾法人の業務に関係ない費用であると認定し、当該人件費の損金不算入および税金追徴の査定をしました。

3.まとめ

 台湾法人の事業に貢献していない海外派遣従業員の人件費を負担する場合には、当該人件費の損金算入を否認されるケースの他に、受け取るべき役務報酬の計上漏れとして、費用計上した人件費に一定のマークアップをした金額の益金算入を求められるケースもあります。また、長期間の海外出張をする場合の従業員の人件費についても、同様の指摘の可能性があります。従業員の海外派遣などに関しては税務上の注意点が多いことにご留意ください。

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