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第192回 みなし利益率の適用と人材派遣/台湾


ニュース その他分野 作成日:2020年11月18日_記事番号:T00093227

KPMG 分かる台湾会計

第192回 みなし利益率の適用と人材派遣/台湾

 海外企業が台湾法人に対して技術サービスなどを提供する場合、所得税法第25条を用いてみなし利益率により営利事業所得税(法人税)を計算し、納税する方法があります。しかし、提供サービスが人材派遣と判断され、適用できない場合があります。

 今回は所得税法第25条のみなし利益率申請と人材派遣との関係について説明いたします。

1.みなし利益率の適用と人材派遣

 海外企業が台湾法人に対して▽技術サービス提供▽建築工事請負▽機械設備などのリース──などの業務を行う場合で、原価費用の配賦(はいふ)計算が困難な場合、財政部へ申請し許可を得ることにより、営業収入の15%を台湾での課税所得と見なして、営利事業所得税を納付することができます。

 適用対象であるサービスには企画、設計、据え付け、保守、監督などが含まれますが、人材派遣は含まれません。国税局による審査で、提供サービスが人材派遣であると判断される場合には当規定は適用できません。

 国税局は、海外企業が契約履行過程において事務的な調整や仲介しか行っていない場合や、瑕疵(かし)による損害賠償責任を負わない場合、派遣人員が派遣先の指揮命令下で従事する場合などの状況から総合的に人材派遣であるかを判断します。

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2.国税局の審査事例による説明

 海外企業A社は台湾B社と、機器設備保守のための技術支援サービス提供に関する契約を締結しました。保守サービスのために派遣された人員は、別の海外企業Cの従業員D氏でした。

 D氏はB社の指揮命令下に置かれて、B社の指示に従い保守サービスを行っていました。また、A社は当該D氏による保守サービスの瑕疵による損害賠償責任を負わず、かつ、契約履行過程におけるA社の役割は事務的な調整と仲介のみでした。

 国税局による審査の結果、A社がB社へ提供するサービスは人材派遣であり、所得税法第25条みなし課税規定は適用できないと判断されました。

3.まとめ

 所得税法第25条のみなし課税適用については、技術サービス提供という契約上の名目のみならず、実質的なサービスが適用対象の業務であるかを国税局が審査します。契約名目では適用対象と思われても、適用が認められない業務もありますので、ご留意ください。

KPMG安侯建業聯合会計師事務所
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