ニュース その他分野 作成日:2020年12月2日_記事番号:T00093470
KPMG 分かる台湾会計台湾における所得税の納税方法は、所得者自身が申告納付する申告納税制度が基本ですが、特定の所得については申告納税制度と併せて、所得の支払者が所得税を源泉徴収して納付する源泉徴収制度を採用しています。
所得の支払者は源泉徴収義務者として、支払時に所得税を源泉徴収して申告納付を行う義務を負っています。
今回は源泉徴収義務に違反した場合の罰則についてご説明します。
1.源泉徴収義務違反に対する罰則
所得の支払者が必要な源泉徴収を行わなかった場合、源泉徴収義務者として未控除額または過小控除税額を追加納付する必要がある他、源泉徴収義務違反として未控除額または過小控除税額の1倍の過料に処されます。

このうち未控除額または過小控除税額の追加納付については、もし所得者が当該所得を取得年度の所得として申告納付している場合には必要がなくなります。
これは、所得者が申告納付したことにより、結果として所得税の過小申告や申告漏れの状況は生じていないためです。
一方で過料に関しては、所得者が申告納付したとしても当該源泉徴収義務者が義務を怠ったことに変わりはありませんので、免除されません。
2.国税局の事例による説明
A社はB氏に対して賃料を支払った際に源泉徴収義務者として源泉徴収を行いましたが、賃料80万台湾元(約290万円)のうち30万元に対する源泉徴収が漏れていることを国税局から指摘され、源泉徴収義務違反として過料に処されました。B氏が個人所得税申告上で賃料80万元を所得として申告納付しており、結果として所得税の過小申告や申告漏れが生じていなかったことから、A社は自らの過料が免除されるべきであると主張しました。
しかし、所得者であるB氏が申告納付していたとしても、A社が源泉徴収義務を怠った事実には変わりがなく、源泉徴収義務違反という行為に対する処罰は免除されないとして、国税局はA社の主張を却下しました。
3.まとめ
源泉徴収義務者は所得税を源泉徴収して申告する義務を負っています。所得者が申告納付を行ったとしても、源泉徴収義務者による追加納付が免除されるだけであり、源泉徴収義務違反という行為に対する罰則は免除されません。失念等により源泉徴収義務違反をしないようご注意ください。
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