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第189回 輸出コミッションに対する国税局の観点/台湾


ニュース その他分野 作成日:2020年10月7日_記事番号:T00092510

KPMG 分かる台湾会計

第189回 輸出コミッションに対する国税局の観点/台湾

 販路拡大等のために海外の現地仲介業者と契約を締結し、コミッションを支払うことがあるかと思います。海外へ支払う輸出コミッションは営利事業所得税(法人税)申告において国税局が注目するポイントの一つです。

 今回は輸出コミッションの税務上の取扱いについて、国税局の観点から説明いたします。

1.国税局が輸出コミッションに注目する理由

 台湾の会社が、例えば海外での販促を現地仲介業者に委託したことに伴って、海外へコミッションを支払った場合、台湾での源泉徴収は必要ありません。過去、これを抜け穴として利用し、海外のタックスヘイブンへ不当な輸出コミッションを支払い、脱税を図った会社がありました。このような経緯から、国税局は輸出コミッションが課税回避の温床になりやすいと考えています。一般的に次の状況が、国税局から特に注目されやすい輸出コミッションの特徴です。

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2.役務提供事実の重要性

 正当な輸出コミッションであることを証明するためには、契約書等の書類を形式的に準備すれば十分と考えがちです。しかし、書類のみでは偽造の可能性もあり証拠不十分と判断される場合もあります。国税局が最も知りたいのは、輸出コミッションが課税回避に利用されていないかということです。コミッション費用を営利事業所得税上で損金計上するためには役務提供事実の証明が重要なことは、第177回「コミッション費用に関する役務提供事実の認定」(https://www.ys-consulting.com.tw/news/89199.html)でもご説明しました。仲介業務の内容およびコミッションの計算方法が明記された契約書及びコミッションの支払証明書類等の書類を準備すると共に、役務提供事実と仲介依頼の合理性が説明できるよう準備することが必要です。仲介業者が自社との間で取引上の依存関係がない、独立した依頼先であることを証明することも有効であると考えられます。

3.まとめ

 国税局により営利事業所得税申告における輸出コミッションの損金計上が否認された場合、損金計上ができないだけでなく、海外への支払時に源泉徴収をしなかった責任も問われる可能性があります。国税局の観点も理解した上で、自社の潔白を証明するための準備をしておくことが必要です。

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