ニュース 法律 作成日:2021年12月22日_記事番号:T00100217
産業時事の法律講座オンラインゲーム大手、智冠科技(ソフトワールド・インターナショナル)は2001年に、オンラインゲーム「武林群侠伝」をリリースしました。一方、中国の杭州辺鋒網絡技術は07~08年、携帯電話ゲーム「侠客風雲伝(オフライン版)」と「侠客風雲伝オンライン」を発表し、台湾の魔塊遊戯が代理店となり、19年3月から台湾で提供しました。
ソフトワールドは、杭州辺鋒のゲーム「侠客風雲伝」が、同社の「武林群侠伝」のストーリー、セリフ、キャラクターや武器などの造形、遊び方、音楽などと完全に一致または酷似しているとして、21年初め、知的財産法院(知的財産裁判所、現・知的財産および商業法院)に訴訟を提起し、杭州辺鋒が同2ゲームを継続して配信または公開することの禁止を求め、損害賠償を請求しました。
「不便宜法廷」で棄却
第一審は21年4月、次の理由から原告の訴えを退けました。
1. 本件「製作ゲーム」の不法行為地および結果発生地は共に中国である。
2. 台湾の裁判所は、杭州辺鋒が台湾で行った「発行行為」の管轄権はあるが、裁判所が受理すると、ソフトワールドは台湾と中国で起訴しなければならない。台湾での訴訟は認証が必要な書類が多く、真偽の判断が難しく、争議が絶えないことから、「フォーラム・ノンコンビニエンス(不便宜法廷)」により、本訴訟の管轄を拒絶する。
ソフトワールドは控訴しましたが、第二審も7月に「フォーラム・ノンコンビニエンス」を理由に訴えを退けました。
最高裁は「不便の事実なし」
しかし、最高法院(最高裁判所)は11月、次の理由から原判決を破棄、差し戻しました。
1. 民事訴訟法には、不法行為の管轄裁判所は不法行為地の裁判所であるとの明文規定があるため、同裁判所は「その管轄が不当または不便である」ことを理由に管轄権の行使を拒否してはならない。
2. ソフトワールドは裁判所の要求に従い、被告の不法行為を証明する多くの証拠を提出している。さらに被告側も弁護士を通じて答弁し、権利を主張していることから、「双方が主張を行うことに不便がある」という事実は、明らかにない。
裁判所には、国際的な不法行為の「行為地」と「結果地」について「国際裁判管轄権」があります。最高裁は、極度の不便性がない限り、台湾の裁判所はこのような訴訟を受理すべきとしたわけです。
徐宏昇弁護士
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