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第325回 ライセンス期限切れ商品のセール販売/台湾


ニュース 法律 作成日:2021年11月10日_記事番号:T00099461

産業時事の法律講座

第325回 ライセンス期限切れ商品のセール販売/台湾

 日出印象国際は、2013年9月に三麗鴎(サンリオ)とライセンス契約を締結、日出は台北、高雄、台中でそれぞれ「百変Hello Kitty 40週年限定特展」を開催し、Hello Kittyライセンス商品(以下「商品」)を販売することとなりました。しかし日出が契約に違反、ライセンス図案を凱蒂創意に対してサブライセンスしたため、サンリオは同契約を解約しました。日出はその損失を補填(ほてん)するため、商品を震翰実業に転売、商品は特売会で販売されました。

 この事実を知ったサンリオは台北地方法院(地方裁判所)に訴訟を提起し、次のような要求をしました。

1.商品の製造、出荷数、希望小売価格を説明した報告書の提出

2.ライセンスシールおよび商品の取引にかかる会計帳簿、会計レポートの提出、サンリオによる工場検査の許可

3.現存するライセンスシール(以下「シール」)および商品をサンリオに渡して破棄すること

4.賠償金1,500万台湾元(約6,100万円)の支払い

違約金は希望小売価格が基準

 第一審裁判所は18年6月、1~3項についてのみ認めたため、双方はこれを控訴、第二審の知的財産法院(知的財産裁判所、現・知的財産および商業法院)は20年4月、次のように認定し一審判決を維持したほか、568万元の損害賠償も認めました。

1.ライセンス契約にある違約金の計算は、ライセンスシールの価格ではなく、ライセンス商品の希望小売価格を基準としている。つまり違約金は、日出が契約違反して商品を製造、販売、散布する行為に対する処罰、またサンリオの損害補填のためでもある。

2.日出は、透明ポーチについてはシール1,200枚を申請しライセンスフィーを支払ったが、実際には40件しか売れなかった。また日出は透明ポーチの在庫はないとしていることから、未販売の1,160個については震翰実業に譲渡、散布されたことが証明できる。

3.同ポーチの希望小売価格は980元、また契約では違約金は違約数量に希望小売価格の10倍を掛けると1,136万8,000元(980×10×1,160)になるが、契約が事前解約されたこと、日出は既に2,000万元でシールを購入していること、そのうち1,800万元部分は使用していないこと、などを考慮し、違約金は568万元とする。

 日出はこれを上告しましたが、最高法院(最高裁判所)は21年8月、未使用のシールと商品は日出が破棄すべきか、サンリオがすべきかについては疑問が残るとした以外は、原判決を維持しました。

徐宏昇弁護士

徐宏昇弁護士

徐宏昇弁護士事務所

1991年に徐宏昇法律事務所を設立。全友電脳や台湾IBMでの業務を歴任。10年に鴻海精密工業との特許権侵害訴訟、12年に米ダウ・ケミカルとの営業秘密に関わる刑事訴訟で勝訴判決を獲得するなど、知的財産分野のエキスパート。専門は国際商務法律、知的財産権出願、特許侵害訴訟、模倣品取り締まり。著書に特許法案例集の『進歩の発明v.進歩の判決』。EMAIL:hiteklaw@hiteklaw.tw

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