ニュース 法律 作成日:2021年9月22日_記事番号:T00098522
産業時事の法律講座商標法には、登録を出願する商標に説明性のある文字が含まれている場合、同部分が「不専用」である旨の声明を行わなければ、同商標の登録は認められないとの規定があり、登録後商標権者は同部分について商標権を主張できません。
「101」の商標
2017年、台北金融大楼股份有限公司(台北101、原告)は、知的財産法院(知的財産裁判所、現・知的財産および商業裁判所)に次のように主張し、訴訟を提起しました。
▽原告は著名商標である「台北101」と「TAIPEI 101」を有している。▽数字科技股份有限公司(被告)は経済部智慧財産局(知的財産局)に対し商標「101 名品会」を出願した。▽原告が異議を申し立てたため、当局は登録を取り消したが、被告は現在も商標「101 名品会」を使用している。▽被告は原告の商標権を侵害していることから、被告が商標「101 名品会」および「台北101」「TAIPEI 101」に近似する商標を使用することの差し止めを求める。
同裁判所は18年4月に原告勝訴としましたが、被告が控訴、同裁判所第二審は19年3月に再度原告勝訴としたため、被告は次のように主張し、上告しました。
▽原告は商標登録時に「101部分は不専用」との声明を行っている。▽原審が、被告商標に原告商標と同様の「101」が含まれることから両商標は近似しており、消費者を混交させると判断したことは過ちである。
混交の恐れがあるか
最高裁は21年6月に次のような理由から被告の上告を退けました。
1.登録商標に専用ではない部分が含まれていても、商標権者が取得したのは商標全体の権利であり、不専用を声明していない部分の権利ではない。
2.商標に混交誤認の恐れがあるかどうかの判断は、図案全体によってなされるべきで、その一部のみによるのではない。そのため、不専用の部分であっても商標近似の判断に影響する。
3.原告は「101」部分について単独で商標権を主張できないが、「101」は係争商標の特徴的部分であり、両商標が近似を構成するかどうかの重要な根拠となる。
商標の不専用部分にもその機能があり、特に権利侵害を判断する際には部分的ではなく、全体的な判断は必須です。下級審は既に両商標に対して詳細に比較し説明した上で、近似と消費者混交の恐れを判断していました。最高裁による「101」は係争商標の特徴的部分との解釈は蛇足に過ぎません。
徐宏昇弁護士
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