ニュース 法律 作成日:2021年8月25日_記事番号:T00097981
産業時事の法律講座立山企業股份有限公司は陳一族と黄一族により、折半出資で設立されましたが、2代目に代替わりしてからは争いが絶えませんでした。
董事長の陳辰雄は▽2013年2月の株主総会で持ち株全てを黄一族へ売却することに同意しましたが、履行はせず、▽同年6月に弟の陳良彦名義で立固興業有限公司を設立、日本の顧客が立固へオーダーを出すよう仕向け、▽同年5月には立山の主要加工工場、辰豊鉄工場のパートナー経営者の地位で、同工場が今後、立山の案件は受けないと決定、▽同年9月には再度立山の株主総会を開催し加工工場がないことを理由として全ての社員の解雇を決議、▽結果、毎月200万台湾元(約790万円)あった立山の売上高は36万元まで落ち込みました。
立山の監察人である黄家は、立山を代表して陳辰雄とその兄弟で董事を務める陳良政に対して、連帯で300万元の賠償を求める訴訟を提起しました。
善管注意義務と損害の因果関係
第一審の台南地方法院(地方裁判所)は2014年10月に、第二審の台南高等法院(高等裁判所)は18年6月にそれぞれ原告の訴えを退ける判決を出しましたが、最高法院(最高裁判所)は21年7月に次の理由から原判決を破棄しました。
1.陳辰雄は陳良彦名義で別途会社を設立、立山の商売を横取りした。立山は民法における「委任」関係から、「忠実な業務の執行または善良なる管理者の注意義務違反」により、陳辰雄に対して同社の損害賠償を求めることができる。
しかし原判決は、同社は会社法の規定により陳辰雄に対して、その得た利益を同社に「帰属させる」ことしかできないとし、また立山が陳の利益を証明できないことを理由に訴えを退けた。この法律上の見解には問題がある。
2.原判決は陳辰雄が辰豊鉄工場のパートナー経営者であることを認定している。しかし、同鉄工場が立山の代理加工をやめ、立固の代理加工を始めたことで、立山は顧客のオーダーを加工することができなくなったにも関わらず、原審は陳辰雄の行為は「善良なる管理者の注意義務を払っており、何らの故意、過失もな」く、かつ同行為と立山が製品を生産できないことの損害の間に因果関係があるか詳細な調査を行っていない。
これらの判決から、裁判所はこうした商業問題の処理能力が低いことが分かります。本案は高等法院で数年にわたり審理されたにも関わらず、最高法院から「委任関係を調べよ」と注意されました。最高法院は判決で、台南高等法院に対して、弁護士に損害期間、各行為者の責任の度合いとその金額を説明させることも明記しています。
商業裁判所設立後はこのようなことはないことを祈ります。
徐宏昇弁護士
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