ニュース 法律 作成日:2022年7月13日_記事番号:T00103600
産業時事の法律講座商業写真の価値は、通常その芸術性ではなく、商業上の利用価値に求められます。良い商業写真は消費者を引き付け、企業イメージを創造し、業者に高い商業利益をもたらします。
提携解消後も継続使用
サンライト・インダストリアルと有盛国際は、2014年から17年にかけて、米国でSOAKブランドの多目的マットレスおよび流木フロート製品を販売する提携関係にありました。
サンライト社は、両社の提携関係終了後も、有盛社が販売する製品にサンライト社のパッケージやタグが使用され続けていることを発見したため、19年8月に内容証明郵便で侵害行為の停止を求めました。有盛社は返答しませんでした。
そこでサンライト社は智慧財産法院(知的財産裁判所)に訴訟を提起し、有盛社が当該パッケージやタグを複製・配布しないこと、およびそれらを回収・廃棄すること、並びに有盛社とその責任者に対して300万台湾元(約1370万円)の損害賠償を求めました。
有盛社側は、「係争パッケージおよびタグは、双方の提携期間に作られたもので、双方は有盛社が台湾で配布し続けることに合意している」と主張しました。
翻案権侵害で賠償責任
裁判所の審理の結果、有盛社が両社の提携終了後に使用したパッケージやタグに使用されている写真は、サンライト社のオリジナルパッケージ上のものでなく、他者が撮影したものを元の写真と置き換えたものと明らかになりました。
智慧財産法院第二審は、判決の中で次のように述べています。
「本件顔写真は、画像に適した角度と大きさの顔を選んで附表一の番号1および6の顔と置換し、かつ適当なレタッチを行うことで顔と体のつなぎ目を違和感がないようにしたものである。これは既に個人の思想または情感を注ぎ込んで創作された別の著作であり、複製を構成するものではない。しかし、その全体的な表現は、浮きマットレスの上で水遊びをする娘と、傍で共に楽しむ母親および浮き椅子に座って水面を漂う二人の女性という構図であり、依然として既存の著作の本質的な特徴を保持しているため、原作の翻案を構成するものである」。
智慧財産法院第一審・第二審は、いずれも有盛公司が当該写真の「翻案権」を侵害したと認定しました。賠償額については、この事件では3枚の美術著作(パッケージ、タグ)、2枚の撮影著作、並びに1枚の美術著作および写真著作を含む図面が侵害されたとして、1枚当たり10万台湾元を賠償額としました。
有盛社は上告しましたが、最高裁は22年6月に上告を棄却、判決は確定しました。
徐宏昇弁護士
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