ニュース 法律 作成日:2022年11月9日_記事番号:T00105746
産業時事の法律講座徐源富氏と親しい仲の朱崧郡氏、許煊晨氏の夫婦は、2017年12月6日から3人で香港旅行をする際に保険金額2000万台湾元(約9200万円)の海外旅行保険に加入しました。香港から帰国後、12月26日に中国のハルビンに行く際にも、同じく2000万元の海外旅行保険に加入しました。
18年1月11日、朱氏は単独で台湾に戻り、15日に苗栗市で徐源富氏の父である徐正義氏に会い、徐源富氏が朱氏から借りている3500万元を代わりに返済することを求めました。徐正義氏は仕方なく3枚の約束手形(計3500万元分)にサインしました。
この話し合いの最中、徐源富氏は、パスポートと携帯電話を朱氏に取られたため、帰国できないと、母親に電話を掛けています。
電話で成り済まし
1月16日、朱氏は台北市から徐源富氏の携帯電話で保険会社に電話し、徐源富と名乗り、保険期間を2月19日まで延長することを伝えた後、1月18日にハルビンに戻りました。
1月22日午前8時、徐源富氏がハルビンの道端で、凍死体となって見つかりました。
1月24日、当時既に台湾に戻っていた許氏は、徐正義氏と共に公証人処(公証人役場)で、徐源富氏の死後事務を朱氏に委任する委任状を公証しました。
1月27日、朱氏は徐源富氏の遺灰と遺影を持って帰国しましたが、それらを倉庫にしまいました。
1月30日、朱氏は、政府からの補助金が振り込まれるという口実で徐正義氏を銀行に連れていき、口座を開設させると共に、ネットで自らの口座へ振り込みができるよう秘密裏に設定しました。
翌1月31日、朱氏は徐源富氏の携帯電話で保険会社に電話し、徐正義と名乗って保険金を請求し、2月2日には同じく徐正義氏に成り済まし、保険会社からの照会を受けました。
3月6日、保険会社は徐正義氏の口座に2006万元を振り込みました。朱氏は同日中に銀行で1338万元を引き出し、翌7日には658万元を自らの口座に振り込みました。
全てが明るみに出た後の7月18日、朱氏は桃園国際空港から出国しようとした際に逮捕されました。しかし、盗まれたお金は押収されていません。検察、警察共に盗まれた金の行方を追ってはいなかったようです。
不自然な凍死
21年11月、第一審の苗栗地方法院(地方裁判所)は、朱氏を私文書偽造とコンピューターを使用して虚偽の財産記録を作成して金銭を得た罪で有罪とし、懲役4年6月の判決を下しました。また許氏も同罪で有罪判決を受け、3年の懲役を言い渡されました。
2人の控訴を受けた台湾高等法院(高等裁判所)台中分院は22年5月、後者の罪のみを認め、それぞれ4年2月と2年8月の懲役を言い渡しました。
22年10月、最高裁は2人の上告を棄却しました。
冬季は昼も夜も非常に寒いハルビンで、一般人が道端で、理由もなく凍死するというのは、とても不思議なことです。徐源富氏の死因の謎は決して解明されることはないでしょう。
徐宏昇弁護士
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