ニュース 法律 作成日:2022年8月24日_記事番号:T00104377
産業時事の法律講座「AUTEL」は、中国の深圳市道通科技(AUTELインテリジェント・テクノロジー)の商標です。
台湾の岑美国際は、2013年3月に「AUTEL」を自社商標として商標登録し、16~17年に道通科技より「AUTEL」製品の販売代理店と認められました。
19年、道通科技が台湾での販売代理店を雷龍国際興業(雷龍オートパーツ・インターナショナル)に変更しました。岑美国際は、雷龍国際による商標「AUTEL」の使用禁止と同商標を使用した商品の廃棄を求め、智慧財産法院(知的財産裁判所)に対して訴訟を提起しました。
智慧財産法院は、20年7月と21年5月に、岑美国際を支持する判決を下しましたが、最高裁は22年6月に次のように判示し、原判決を破棄しました。
商標の横取り登録
最高裁は下記の見解です。
1. 岑美国際は、12年2月の時点で道通科技の商標「AUTEL」を認知していた。そのため、同社が13年に同商標の登録を申請したことには悪意がある。
2. 岑美国際は同商標を台湾で横取り登録することで、不正にその商標権を取得し、不公平な競争を行った。従って、本件商標権侵害排除訴訟の提起は、信義則に反し、権利の乱用に当たる。
3. 14年の道通科技と岑美国際の会議議事録には、「岑美国際は台湾におけるAUTELの全製品の販売代理店として認めるが、道通科技は他の台湾企業と台湾における販売代理店契約を締結する権利を有している」と記載されている。また、道通科技から台湾においてAUTEL製品を販売する権限が与えられた雷龍国際に、岑美国際の商標権を侵害することがなぜできるというのか?
商標権横取り登録の最大の被害者は消費者です。商標が横取り登録されたことにより、消費者は本物を買えない、または偽物を買うことしかできないのです。
本件において裁判所は、商標の所有権を判断するに当たって、訴訟当事者の利益だけでなく、商標の公共的利益も考慮する必要があることを判示したのです。
徐宏昇弁護士
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722