ニュース 法律 作成日:2023年3月22日_記事番号:T00108048
産業時事の法律講座施文富は、「不等間隔で配置された8つの深い歯状波模様を有する複数の歯状波模様」という外観を特徴とする「靴底」の意匠についての特許を出願し、同特許取得(意匠登録番号D179735、2016年12月に公告)後に同靴底の製造を辰豫塑膠工業股份有限公司に委託しました。同社は鑫美公司や佳美企業社向けにも同様の靴底を製造しました。
18年6月、施は鑫美および佳美が製造した革靴を市場で購入し、これらが辰豫などによる秘密保持契約違反に当たり、特許権および同靴底に係る施の著作権を侵害しているとして、損害賠償および判決主文の新聞広告掲載を求め、智慧財産及商業法院(知的財産および商業裁判所)に提訴しました。
平凡な設計は保護対象外
訴えを受けた同裁判所は、21年8月に原告の訴えを棄却しました。施の控訴を受けた同裁判所第二審も、22年8月に次のような理由から控訴を棄却しました。
1.歯状の波模様と8つの深い歯状の波模様を不等間隔で配置した靴底の設計は、同業他社である茂泰公司の15年版の製品カタログに掲載されている。同カタログに掲載された製品と施の意匠の細部の違いは、既に多くの意匠特許に公開されている。
このことから、施の靴底の意匠には進歩性がないことが証明される。
2.施の靴底のパターン設計は単調である。改良されたパターンと追加された折り目は、どちらも靴底の実用性を高めるためのものであり、芸術作品に求められる創造性のレベルには達していないため、著作権による保護を受けることはできない。
3.被告の靴底と施の外観設計は完全に同一なものではない。原告は、辰豫が靴底を作るために施の型を使用したことや、型の設計が流出したことを証明できていない。
施の上告を受けた最高法院(最高裁判所)は、23年2月に上告を棄却、本件は確定しました。
この事例は、優れた製品設計は、外観設計特許に加えて、著作権でも保護され得ることを示すものです。ただし、機能的なデザインであれば特許権を取得することはできますが、平凡な設計では、特許法や著作権法では保護されない可能性があります。
徐宏昇弁護士
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