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《24年花蓮地震》第38回 花蓮地震で陸の孤島、ドローン・ヘリ・救助犬が活躍/台湾


ニュース 社会 作成日:2024年4月8日_記事番号:T00114615

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《24年花蓮地震》第38回 花蓮地震で陸の孤島、ドローン・ヘリ・救助犬が活躍/台湾

 3日午前7時58分、花蓮県沖を震源とするマグニチュード(M、地震の規模)7.2の地震が発生し、震源に近い花蓮県は最大震度6強を観測しました。台湾にとって忘れられない1999年9月21日の中部大地震(921地震)のマグニチュード7.3以降、最大の規模の地震です。

/date/2024/04/08/20taroko_2.jpg救助隊は土砂崩れが深刻な2カ所を中心に捜索した(5日=中央社)

 花蓮市内の8階建てマンション、天王星大楼が大きく傾き、ペットを助けに戻ったとみられる33歳の女性が死亡したほか、国立公園の太魯閣国家公園にいた人、幹線道路の中部横貫公路(省道台8線、台中市~花蓮県タロコ大橋)や蘇花公路(省道台9線)を車で走行していた人などが落石で死亡しました。

 中部横貫公路が寸断し、太魯閣国家公園が「陸の孤島」となりました。公園内の高級ホテル、太魯閣晶英酒店(シルクスプレイスタロコ)と天祥青年活動センターの計688人をはじめ、一時705人が孤立しました。

行楽の連休が一転

 花蓮県は台湾有数の観光地と知られています。太魯閣国家公園は、広さ9万2000ヘクタール、大理石(結晶質石灰岩)の太魯閣(タロコ)渓谷が見どころです。ちょうど気候がよく、清明節(4月4日)の4連休前で、台湾各地や海外からの旅行者で賑わい、公園内の宿泊客や従業員、早起きしてハイキングしていた人などがいました。中には海外在住の日本人女性2人もいました。

 軍や花蓮県政府のほか、内政部消防署や台南市、高雄市、屏東県、台東県の4県市も協力し、救助隊56人と災害救助犬(レスキュードッグ)計7頭を送り込みました。道路が寸断し、車両が行き来できず、余震も発生する中、徒歩やヘリコプター、ドローン(無人航空機)を使い、スマートフォンの位置情報を確認しながら捜索や救助に当たりました。

/date/2024/04/08/20hotel_2.jpgドローンは4日、救助を待つシルクスプレイスタロコの従業員を撮影した(4日=中央社)

 シルクスプレイスタロコの従業員50人はマイクロバス4台での出勤途上、地震に遭い、うち3人が自力でホテルに戻って報告しました。ドローンが4日、公園内の九曲洞遊歩道の700メートル続くトンネルの下で、残り47人を確認しました。うち1人は、足を骨折している人がいると、ドローンに向かってジェスチャーで必死に伝えていました。

 救助犬は5日と6日、砂卡礑遊歩道の土石流の中から、3人の遺体を発見しました。死者は計13人となりました。6人は依然、行方不明です。/date/2024/04/08/20dog_2.jpg花蓮県消防局の救助犬Wilsonは初の行方不明者捜索任務だった(5日=中央社)

 日本をはじめ、各国・地域から義援金や救助支援の申し出がありました。6日、ドローンを得意とするトルコの救助隊が訪台し、7日に現地入りしました。

道路復旧、4日ぶり下山

 7日、車の通行が可能になり、ホテルなどに足止めされていた人の下山が始まりました。太魯閣晶英酒店は4月末まで休業する予定です。太魯閣国家公園も休園中です。台湾の高解像度地球観測衛星、福爾摩沙衛星(フォルモサット)5号(福衛5号)で、土砂災害は2060ヘクタールとみられ、観光復興は時間はかかりそうです。

青木樹理

青木樹理

ワイズメディア

日本、台湾での金融機関勤務を経て、ワイズニュース創刊年の2007年に入社。副編集長を経て20年より編集長。台湾経済・産業の動向を分かりやすくお伝えするため、台湾社会をウオッチしながら生活しています。

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