ニュース 社会 作成日:2024年11月4日_記事番号:T00118417
ワイズニュースこぼれ話2013年に発効した台湾とニュージーランド(NZ)の経済協力協定「台紐経済合作協定(ANZTEC)」に基づき、2025年からニュージーランドの牛乳類の輸入関税が撤廃されます。消費者や企業が牛乳など乳製品や加工製品を安く買えるようになる一方、酪農家への打撃が懸念されています。
■世界2位の高価格
日本の牛乳の小売価格は900~1000ミリリットル入り紙パックで200円前後ですが、台湾では90台湾元(約430円)前後します。世界各国の生活情報データベース、Numbeoでも、台湾の牛乳の価格は香港に次いで世界で2番目に高く、日本の約2倍とありました。
農業部の統計によると、23年の台湾の酪農家は554戸、乳牛は12万3500頭で横ばい~微増ですが、生乳生産量は47万2400トンと、10年で3割増え、増加傾向にあります。牛乳の1人当たり22年消費量も22.21キログラムと、14年の16.95キログラムと比べ、3割増加しました。農業部によると、業務用の牛乳使用は30%。消費拡大は、健康志向や食の洋食化に加え、カフェやドリンクスタンドで、脱脂粉乳(スキムミルク)でなく牛乳使用が増えたことも一因です。
そんな中、23年の輸入量は5万8300トンと、14年の2.5倍に増えました。内訳は、要冷蔵のチルド牛乳(フレッシュミルク)3万8900トン、常温保存可能なロングライフ牛乳(LL牛乳)1万2200トン、その他7200トンでした。チルド牛乳の輸入元は米国が88%、ニュージーランドが9%を占め、ロングライフ牛乳はニュージーランドが68%を占めました。
■給食で週2回、台湾産牛乳
乳牛は暑さに弱く、輸入飼料価格も高騰しており、ニュージーランドからの輸入関税撤廃で「酪農家の生産が3割減少する」と不安の声が出ています。
酪農家を支援するため、今年9月の新学期から全土の小学校の給食で週2回、台湾生産の牛乳かロングライフ牛乳、カルシウム入り豆乳を提供します。予算の関係で、ロングライフ牛乳を選択する学校が多数です。
衛生福利部食品薬物管理署(TFDA、食薬署)は、25年7月から、▽消費期限30日以上のESL牛乳、▽ロングライフ牛乳──は商品に表示を求めます。ニュージーランドからの輸入は、ロングライフ牛乳が多いためです。台湾産牛乳には、牛マークのシールが付いています。
それでも、子どもがロングライフ牛乳の味に慣れ、価格が安いとなれば、物価高の中、輸入のロングライフ牛乳の購入は増えることでしょう。
青木樹理
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