ニュース 社会 作成日:2024年11月18日_記事番号:T00118666
ワイズニュースこぼれ話「乙女の祈り」や「エリーゼのために」といえば、台湾ではごみ収集車の到着のメロディー。マンションに専用のごみ捨て場がない場合、ごみ収集車の到着に合わせて、生ごみや資源ごみなどを分別して捨てます。
早朝に路上で見かける粗大ごみには「自治体に連絡済み」とメモが付いています(YSN)
ごみ清掃員の目の前でごみ収集車にごみを捨てることや、非資源ごみのごみ袋有料化の効果か、台湾の一般廃棄物(家庭ごみ)の1人当たりごみ排出量は1359グラム(23年、環境部)で日本の880グラム(22年、環境省)より高いものの、リサイクル率は58.31%(23年)と、日本の19.6%を大きく上回ります。
そんな中、粗大ごみ(大型ゴミ)の中でも、解体が難しいマットレスの処理が問題になっています。
■マットレス回収を有料化
ごみ収集車で回収できない粗大ごみは、地方自治体に無料回収を依頼します。環境部の統計によると、昨年の6直轄市のスプリングマットレス回収は1万8000トンで、58万個相当でした。
中でも、体にフィットして寝心地が良いといわれるポケットコイルマットレスは、コイルスプリングを一つずつ袋詰めしマットレスに敷き詰めてあるため、解体が難しく作業員の負担が重い、けがしやすいなどの問題が指摘されています。
高雄市は、スプリングマットレスを年間10万個回収しており、うち6割がポケットコイルマットレスです。一般のマットレスなら作業員3~4人が1組で1日10個を解体できますが、ポケットコイルマットレスの場合は1日3.5個しか解体できません。解体作業は高温の環境で、マットレスから放出されるダニや粉塵で空気が悪く、作業員の体に負担がかかる上、手作業や破砕機でけがをするリスクもあります。
そこで高雄市は2025年1月から、マットレス処分費用を徴収することにしました。ダブルサイズの一般マットレスは375台湾元(約1800円)、ポケットコイルマットレスは700元です。
新北市は、マットレスを年間15万個回収しています。2年前にメーカーと専用の破砕機を開発し、1日1000個解体できるようになりました。解体後の鉄くずは業者に販売し、昨年は246万元の収入を得ました。
マットレス処分費用の徴収で「捨てるコスト」がかかると、無駄な買い物を抑制できるかもしれません。地方自治体の無料回収は、不法投棄を減らすことができる一方、税金がかさむところを、鉄くず販売収入で、カバーできます。
ニュースには毎日、ネットゼロ、脱炭素などの言葉が踊りますが、まずは無駄な買い物を減らすことも必要ですね。
青木樹理
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