久しぶりになりますが、南部の総経理のちょっといい店をご紹介いたします。南部は時折、日中30度を超す真夏日になることもあり、皆さま方も食欲が減退気味ではないでしょうか。

高本特助（左）と女将の陳美年さん（右）

　今回は台湾のみならず日本でもあまり見ることのない大吟醸を使った鍋のお店を紹介します。

　オーナーは日本に留学経験があり、台湾で日本酒を使った鍋を長年研究し、完成させました。日本でもあまり食べる機会のない大吟醸の鍋を、高雄に長くお住まいの高雄岡崎工業の高本昌和特助に、ご紹介いただきました。

　まずは高雄岡崎工業のご紹介をさせていただきます。同社は温度センサーメーカーで、主要製品はシース熱電対、測温抵抗体、ヒーターなどＭＩケーブルを基本技術とした製品で、石油化学、電力、ガス、船舶、繊維、半導体、食品、薬品、航空宇宙、自動車などのさまざまな分野で役立っています。

日本酒が隠し味

　今回ご紹介するのは鍋のお店で、店名は「右京棧大吟釀」です。一番の特徴は、店名の通り日本酒を隠し味として使っているところです。

　女将である陳美年さんによると、この味付けはオーナーが40年以上も前に、日本留学中に京都府右京区で食べた日本酒入りの鍋にヒントを得たもので、帰台後、試作を繰り返して現在の独特な風味と味の鍋になりました。現在のお店は13年にオープンしました。

　大吟醸は日本酒でも高級酒に分類されており、同店ではその大吟醸の新酒の貴重な酒粕をスープの下味段階で使用します。白くて香りがとても良いそうで、そのままでも食べることができます。大吟醸酒粕は限定品で手に入れることも難しいとのことです。

　酒粕を入れることで味がまろやかになりかつ深みも増します。調合する大吟醸のブランドや量など詳しいレシピはもちろん業務秘密です。

　スープは全部で４種類で、お好きな味を２種類まで選べます（スープは１種類の場合１人110台湾元で、150元追加で２種類選択できます。テーブルごとの最低消費金額は650元）。

酒粕スパイシー味（左）とコラーゲン吟醸味（右）

　今回は定番で人気の酒粕香辣味（酒粕スパーシー味）と膠原吟醸味（コラーゲン吟醸味）の２種を選択。具材は一押しのアンガス牛の霜降り肉（388元）に、スルメイカ（153元）、北海道産のホタテ（298元）、団子盛り合わせ（188元）、キノコ盛り合わせ（258元）を注文しました。

その場で日本酒と調合

　鍋が運ばれきた後、スタッフが日本酒２種類とスープを調合、あとはスープが煮立ち、具材を入れれば完成です。

　スパイシー味は程よい辛さで、日本人の味覚にも合っていると思います。もう一つのコラーゲン味は、見た目と異なりあっさり系で具材の味を生かしています。アンガス牛の霜降り肉は、ステーキにもするような高品質のものを使用しているだけあり、柔らかく、ジューシーで口の中でとろけて、ボリュームも十分です。

　団子は全て手作りで形はいびつですが、とても新鮮で食感も楽しめます。ホタテは生食用ですので、さっと入れスープに通すだけで食べられ、小ぶりながらもほんのり甘くて、ホタテ本来の風味が口全体に広がります。

　食材は厳選されたものを使用しており、全て台中のセントラルキッチンにて仕入れと調理をしています。高雄では野菜のみを買い付けているそうです。

食材にこだわっており、とても新鮮です

　スープは品質や味にこだわり、決められたレシピに従って調理するので、賞味期限切れなどといった問題が発生しにくい仕組みになっています。

アクセスもよく目立つ店舗

　高本特助が「たまたま通りがかりに発見した」とおっしゃるように、右京棧大吟釀は大立百貨の近くにあり非常に目立ちます。また、目の前のロータリー駐車場はお店が契約しており、楽にアクセスできます。高雄にはいろいろな特徴のある鍋のお店がたくさんありますが、右京棧大吟釀は清潔でゆったり座れるようにテーブルもレイアウトされています。

　インテリアも独特で、オーナーが収集しているイタリアのクラシックスクーター「Vespa（ベスパ）」なども展示されており、おしゃれでセンスを感じさせます。

　お店の広さは300坪で１階は受け付けと会計、２階と３階が客席となっています。全部で25テーブルあり、７人以上で来店ならば個室もご利用できます。

（取材／ワイズコンサルティング・大坪豊）

右京棧大吟釀
住所：高雄市前金区五福三路25号
電話：07－201－5588
営業時間：11：00～深夜2：00
定休日：なし
駐車場：店舗前に有料駐車場あり（飲食800元で１時間、1,600元で２時間無料）
※別途10％のサービス料がかかります