ニュース 法律 作成日:2020年12月9日_記事番号:T00093601
産業時事の法律講座経済部智慧財産局(知的財産局)の主な業務は特許と商標の審査業務です。審査の速度は世界で一、二を争うものですが、審査の品質はいまひとつです。
そこで同局は、特許、商標の審査の効率を高めるために、次のような政策を新たに発表しました。
第三者審査意見
特許出願後、同業者などが同特許の進歩性について意見がある場合、同局に対して先行技術調査資料を提供し、審査に協力します。同局による重要な先行技術文献の見逃し防止と、時間がかかる特許無効審判を経て特許を取り消す手間を省くことができます。
第三者による審査意見の提供は、審査の品質を高めることができます。同局はこの制度を次のように制度化する計画です。
1.同局のホームページ上に第三者意見提供欄を設ける。
2.提供された意見を答弁の参考用として出願者に提供する。
3.同意見を特許審査資料とし、その他文献とともに公開する。
積極型面接
積極型面接とは、特許請求項をどのように修正すべきかを、審査委員が出願者に直接伝えるというものです。
これまでは、審査委員が出願内容を誤解していると感じた場合に、出願者は面接を求め、口頭または物品展示で説明していました。審査委員は出願者に有利な提言はしないため、経験の浅い弁理士などは、審査委員の意見を推測する必要がありました。
新政策では、下記の通り規定されました。
1.設立5年未満の新興事業は、国内外の企業かを問わず、積極型面接を申請できる。
2.前倒しで先行技術調査を実施し、審査意見を出願者に提供し、面接する。
3.面接時には審査委員が特許申請の範囲の修正について提言を行う。
4.出願者がその提言に基づいて修正した場合、特許は認められる。
5.異なる修正をした場合は、一般の審査プロセスに入る。
同局は、積極型面接を利用した場合、最短で4カ月で特許の取得が可能だとしています。
商標自動審査
商標登録の審査は、▽同商標が先行商標と近似しているか、▽商標を使用する指定商品が近似商標の指定商品と類似しているか──を主に判断し、ともに合致した場合は登録が認められません。
商標商品の分類は、世界知的所有権機関(WIPO)の「ニース協定(Nice Classification)」が採用されています。同協定は大量の商品と役務の名称をリストアップし、更新も頻繁に行っています。また異なる商品と役務の類似関係についても定義を行い、コンピューターによる基本判断を可能としています。
新政策では、文字または図形商標が電子申請され、かつ指定商品が同局の「電子申請系統(システム)参考名称」に完全に合致した場合、同申請案はコンピューターの自動審査となります。審査結果に反対意見がある場合は、審査官による審査となります。
同局では、現在すでに60%を超える案件がコンピューターの自動審査となっています。この新政策は施行1年後に検討と調整が行われます。
徐宏昇弁護士
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