記事番号:T00001728
●前回のあらすじ
経営資源の配分を合理的に判断できるフレームワークの一つにPPM(プロダクト・ポートフォリオ)があります。
例えば家族でピザを分ける場合、一番稼ぎのあるお父さんが、一番多く食べるという順番にはならず、稼ぎが無くても食欲旺盛な子供たちへの配分を増やすのは、家族内での伸び盛りの人に対する投資必要だからです。
●先週のなぞなぞ
お父さんのスーツは、もう3年も新調をしていないのに、なぜお母さんは子供たちにはたくさんのお金を使うのでしょう?
●PPM縦軸の意味
PPMはBCG(ボストン コンサルティング グループ)により「事業(製品)における合理的な経営資源の分配」を判断する目的で開発されました。
PPMの縦軸は市場成長率をとり、「その事業(製品)の属する市場の成長率が高いか、低いか」で分類します。
「市場の成長率が高い」ということは「市場は成長期にある」ことを表しています。市場の成長期には新規参入による競合も増え、厳しい競争を強いられることになります。この成長市場で生き残るためには、「その事業(製品)に経営資源を投資し続ける」必要があります。
逆に「市場の成長率が低い」ということは、すでに市場は成熟期~衰退期に入っています。この時期は新規参入も少なく、競合の淘汰が予想されます。この時期には「投資は最低限に控える」ことが重要となるのです。
つまり、先週のなぞなぞの答えは、「成熟しているお父さんに対する投資は最低限に抑え、成長率の高い子供達に資源を集中する」という経済学から見ても合理的な判断といえます。限られた家庭の収入をいかに効果的にやりくりするかという「賢いお母さんの生活の知恵」なのですね。
お父さんは…辛い!?
ちなみに、PPMの縦軸の境界をどこにするかですが、諸説がいろいろございます。
本コラムでは、いろいろ考慮した結果、「市場成長率10%」を境界とさせていただきます。
●今週のなぞなぞ
市場シェアは皆さんご存知でしょうが、PPMではただの市場シェアではなく「相対市場シェア」を使います。
アインシュタインの「相対性理論」や人事考課の「相対評価」などで「相対」という言葉を聞きますが、「相対市場シェア」って一体何でしょうか?
ワイズコンサルティング 手塚理奈子