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第21回 台湾人は兵役をどう見てる?


コラム 台湾事情 作成日:2010年12月27日

台湾人研究所

第21回 台湾人は兵役をどう見てる?

記事番号:T00027422

 徴兵制度のある台湾では、昔から「兵役を終えないと一人前の男になれない」と言われています。18歳以上の男性に兵役の義務があり、ほとんどの男性は兵役経験があります。兵役期間は以前は2年間でしたが、今は1年に縮まり、さらに2014年には徴兵制は廃止となり、全募兵制(志願制)に移ります。しかし全募兵制になるとはいえ、兵役を志願しない男性も4カ月の軍事訓練を必ず受けなければなりません。さて、人生で貴重な経験である兵役ですが、台湾人はどれぐらいの期間が適切だと思っているのでしょうか。

男女で回答に大きな差

 波仕特線上市調網が8月11日に実施した「兵役期間はどれぐらいがいい?」の調査では、「1年」が4割以上を占め、ダントツで首位でした。次いで2位は「2年」、3位は「必要なし」という極端な結果でした。

 回答者の性別で見ると、大多数の女性が「1年」を選んだのに対して、男性は「必要なし」を選んだ人が多かったことが分かりました。「軍隊で学んだことは社会で使えないし、時間の無駄になるだけだ」と兵役を拒む男性が増えてきています。一方、女性にはやはり「男なら軍隊など恐れずに行ってきて」という考えがあるようですね。たぶん実際に軍隊に行くのは女性ではなく男性なので、このような結果になったのでしょう。

1年の兵役はままごと?

 また、2位の「2年」を選んだのは、ほとんどが中年男性でした。彼らは自分自身が2年間の兵役を経験したので「兵役は2年が当たり前」と思うのでしょうか。

 ただ、彼らが兵役を経験した、戒厳令が敷かれていた時代(1948〜87年)と今では、軍隊の雰囲気は全然違います。私の父親に聞いてみたところ、「今の兵役はたった1年で、ままごとと変わらん」と言っていました。確かに今は戦争が勃発(ぼっぱつ)しそうな緊張感や危機感はありませんが、それでもハッピーな兵役生活を送った人はいないと思います。

最前線での経験談

 私が兵役で所属した部隊は、台湾本土ではなく、中国大陸に面した馬祖列島の最前線の離島、東引島の陸軍東引地区指揮部でした。兵役の間は、山の中の洞穴に住んでいました。電気は通っていましたが、雨が降ると切れてしまう場合が多く、水たまりがたくさんあり、ムカデ、ネズミ、カエルやヘビなどがよく出ました。

 生活環境のみならず、軍隊の上下関係も厳しいものでした。入隊したてのころ、長官に敬礼をし忘れ、その場で怒鳴られて、5分以上立たされたことがあります。

 肉体的な疲労も当然激しいです。ライフル射撃、機関銃射撃、銃剣術などの戦闘訓練に加えて、ジョギングなどの基礎体力訓練もありました。真夏には40度の炎天下で、全武装(防弾チョッキ、ヘルメット、ライフルなど全装備を着用)で訓練を行いました。

 事務的な仕事の量も多かったです。私の担当は参謀第四業務(調達管理)で、部隊内の車両、兵器、化学装備、工兵装備、通信設備、光電設備などの管理でした。忙しい軍隊生活のおかげで、高いストレス抵抗力が身に付きました。

目に見えない宝ができた

 軍隊で学んだスキルは社会では使えないのは確かですが、わたしは人間関係への対応力や、ストレスへの抵抗力が身に付きましたし、日常の物事をより大事にする気持ちが強まりました。こうした目に見えないものこそが、軍隊生活が教えてくれたものだと思います。しかも父親と共通の話題ができて、以前よりもっと親しくなりました。つらい経験だったからこそ素晴らしい思い出になりましたし、軍隊生活は人生の宝物だと思います。

 でもやはり1年でもう十分ですね。

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