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3月11日に東日本で発生した大地震により、想像を絶する被害が出ており、同じく地震帯に位置する台湾でも、とても高い関心を集めています。
メディアでの報道はもちろん、Facebookや台湾最大の電子掲示板・PTTでも、「日本がんばれ!」という応援メッセージや、義援金募集のキャンペーンがあちらこちらに見られ、3月17日付中央日報によると、震災関連の情報を転送したり、応援メッセージを書いたFacebookユーザーは78%に上るそうです。多くのニュースチャンネルでは、他国での災害にもかからず、地震発生から1週間を過ぎた今でも、四六時中、震災報道を続けています。台湾のメディアが異常なまでの関心を見せるのには、2つの理由が考えられます。
日本に対する親近感と地理条件
一つは台湾人が日本に強い親近感を持っているということ。日本のマンガやアニメ、日本食、電子製品などが広く受け入れられ、日本ではやったものは必ず台湾でもはやるといった環境があります。また地理的にも近く、同じ地震帯に位置するということから、「明日は我が身」という恐れがあるのでしょう。
Yahoo!民調中心が今年3月11~14日に行った「台湾でも大地震が起こると思いますか」と尋ねたアンケート調査では、「必ず起こる」が91%でダントツ1位となりました。
低いニュースの質
もう一つの理由は、台湾の放送メディア業界(特にニュース番組)の競争が激し過ぎることです。「ハデな事件を報道しないと他社に負ける」、「他社が1時間報道するならこっちも1時間」といった具合で、今回の震災ではどのニュース局も24時間、震災報道を流し続けることになりました。
しかしNHKなどのニュース画面をそのまま使うだけだったり、「スクープレポート」と称して被災地に行っても、パニック状態に陥った現場をただ映すのみで、有意義な情報は何も提供しないということも少なくありません。また別の角度から見ると、日本の地震を24時間、何日間も流し続けても問題がないということは、普段放送されているニュースが、どうでもよいものばかりだということになります。
台湾の防災システムに極度の不信感
日本の地震にすごく関心を持っているというのは、台湾人が地震に対して強い危機感を持っているためとも言えます。一方で台湾の市民は政府の防災システムに大きな不信感を抱いています。Yahoo!民調中心が今年3月14~15日に行った「台湾の防災システムを信頼できますか?」との調査では、「信頼できない」がなんと92%を占めました。近年では、民進党と国民党の政争が激化し、政治が空回りしていると感じている市民も少なくないと思います。 1995年の阪神・淡路大震災を教訓にしっかり防災対策を進めた日本に対し、台湾は1999年に起きた台湾中部大地震の後、きちんとした対策を講じてきたとは言えません。例えば、日本は震災後に緊急地震速報システムを開発しましたが、一方の台湾は現在でもこうしたシステムを持っていません。郝龍斌・台北市長が3月14日、「近いうちに台北市で大規模な防災訓練を行う」と発表しましたが、ただの建前にすぎないと考えてしまいます。
実際、私も地震の防災訓練というものを受けた記憶はほとんどありません。そのため、政府の災害対策に対する姿勢をあまり信用していません。日本人は今回の大震災に直面しても冷静に向き合っているように見えます。それはきっと普段の防災訓練が功を奏した結果なのでしょう。台湾でも、1日も早くそういう対応能力を培うシステムを小中学校に普及させてほしいです。教育のほか、地震速報などのシステムもさらに強化する必要があると思います。
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