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第203回 エヌビディア創業者 ジェンスン・フアンCEO/台湾


コラム 経営 作成日:2023年6月16日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第203回 エヌビディア創業者 ジェンスン・フアンCEO/台湾

記事番号:T00109541

 グラフィックスプロセッサー(GPU)大手、エヌビディア(Nvidia)は、世界で初めて時価総額が1兆米ドルを超えた半導体メーカーです。全米で5位、世界で6位の巨大企業です。

/date/2023/06/16/30ko1_2.jpgフアン氏は、アジア最大級の情報技術(IT)見本市、台北国際電脳展(コンピューテックス台北)の事前講演でスピーチした(中央社)

 創業者の黄仁勲(ジェンスン・フアン)氏は1963年、台南市で生まれました。父親は化学エンジニア、母親は小学校教諭でした。

 父親が30代のとき、ニューヨークでエアコンメーカー、米キヤリアの従業員研修を受け、フアン氏と兄を米国に移住させようと決めました。

 フアン氏は72年、9歳で米国に移住しました。渡航する前、母親は英語ができず、毎日辞書から単語をランダムに10個選び、フアン兄弟にも書いて覚えさせました。フアン氏は、「両親の夢と願いが自分を作り上げた」といいます。

ファミレスで起業計画

 フアン氏はかつて、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やLSIロジックでエンジニアとして経験を積みました。

 30歳のとき、カリフォルニア州にあるファミリーレストランのデニーズで、エンジニア仲間2人と朝食を食べながら、起業の夢について語り合いました。デニーズはコーヒーのおかわりが無料で、4時間でコーヒーを10杯も飲み干しました。

 こうして93年、3人共同でエヌビディアを設立しました。資本金は4万米ドルでした。

 社名の「エヌビディア」は、ラテン語の「invidia」が由来です。invidiaは英語の「envy」と同義で、「羨望」を意味します。当時、共同創業者の3人で「NV」で始まる名前を考えていたので、NVと未来への憧憬の意味を込め、「Nvidia」と命名しました。

TSMCチャン氏との出会い

 フアン氏は95年、32歳だったときに、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)氏に手紙を書き、エヌビディアのチップを受託生産してもらえないか尋ねました。当時は名の知られていなかったエヌビディアには、返事すら届かないかもしれないと考えていました。

 しかし思いがけず、チャン氏は手紙を受け取ってすぐにエヌビディアに電話をかけてきたのです。フアン氏は驚きとうれしさのあまり、「静かにしてくれ!モリス・チャンが私に電話をかけてきたんだ」と周りの同僚に大声を上げました。

 この1本の電話で、エヌビディアとTSMCの長年の提携関係が始まりました。フアン氏はいつも何度でも「TSMCがなければ今のエヌビディアはない」と称賛しています。

株価暴落で10分の1に

 大成功を収めたフアン氏も、失敗したことがないわけではなく、むしろ失敗の連続でした。

 01年、エヌビディアはGPU世界1位に上り詰めた喜びの中にありました。翌年、従業員のインサイダー取引によって、年初に過去最高の株価70米ドルを記録したにもかかわらず、10カ月足らずで7米ドルまで下落してしまいました。時価総額は110億米ドルから、10分の1の10億米ドルまで下落しました。

革ジャンのジェンスン・スタイル

 アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏は07年、黒のタートルネックシャツとジーンズといういでたちで、スマートフォン、iPhoneを発表し、テック業界に新たな風を吹かせました。

 フアン氏は、夏でも冬でもステージに立つときは、黒の革ジャケットと黒のパンツの「ジェンスン・スタイル」と決めています。

 ステージ上ではジェスチャーを豊富に使った扇動力のあるスピーチで、硬い半導体業界に、まるでロックスターのような魅力あるパフォーマンスを持ち込んだのです。

 フアン氏は、左肩の下にエヌビディアのロゴのタトゥーを入れています。きっかけは、ある会議で、エヌビディアの株価が100米ドルに到達したら何をするかが話題となり、皆でタトゥーを入れることを決めたことでした。株価が100米ドルに達し、タトゥーを実行したフアン氏の感想は、「痛い」でした。

恥を恐れるな、走れ!

 訪台したフアン氏は5月27日、台湾大学の卒業生に3つの話をしました。

 エヌビディア設立当初のつらかったことや、会社が倒産しかけたこと、スマートフォン向け半導体チップ市場に参入したものの競争が激しくすぐさま撤退したことなど、「恥ずかしい失敗に満ちている」と語りました。

 その上で、過ちを認め、助けを求めることを怖がらず、夢がかなう前はつらく、時には諦める決断も、成功につながると、卒業生に激励の言葉を贈りました。

 最後に、「走れ、決して歩くな!獲物を追っていたとしても、獲物にならないために逃げていたとしてもだ」と締めくくりました。

 

台湾出身のエヌビディア創業者、台大卒業生に激励スピーチ

https://www.ys-consulting.com.tw/news/109197.html?pop=&frm=

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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