記事番号:T00107078
揚秦国際企業は、傘下にフランチャイズ事業の▽朝食店の麦味登(マイ・ウォーム・デイ)、▽フライドチキンの炸鶏大獅(フライドチキンマスター)、▽ベーカリーのリアル真カフェ・ブレッド──があります。
麦味登は、台湾で初めてフランチャイズ展開した朝食・ブランチ店で、現在880店舗あります。同社の2022年の連結売上高は18億8000万台湾元(約80億円)で、麦味登が売上高の約92%を占めました。
鶏肉卸売の跡取り息子
卓靖倫氏は、鶏肉の卸売で知られる超秦企業(スーパー・チン)の2代目として1982年に生まれ、鶏の食肉処理場とともに育ちました。
父親の卓元裕氏は、ケンタッキーフライドチキン(KFC)の台湾市場進出を受け、台湾で初めて気絶処理(スタニング)」による食肉処理場を設置しました。当時、KFC、マクドナルドなどのファストフード大手のほか、友人が経営する麦味登にも鶏肉を卸していました。
卓靖倫氏は一人息子で、昔かたぎな父親の方針で、高校生になる前から鶏肉の切断を担当し、実務経験を積みました。
麦味登は超秦に1000万元以上の借金がありました。卓元裕氏は93年、麦味登を買収し、プロ経営者に経営を任せました。
卓靖倫氏は07年、超秦に入社し、麦味登の営業職としてキャリアをスタートさせました。4年後に副総経理まで昇格し、経営を任されました。
朝食店をカフェ風に
卓靖倫氏は14年、大鉈を振るいました。ブランドイメージ向上のため、ターゲットを「30歳の優男」に変更しました。優男のイメージに合わせ、油や煙がかからないよう、台湾の朝食店では一般的だったむき出しの調理台を厨房に移動しました。壁は深緑と黒、テーブルや椅子、床は木製に変更し、間接照明で温かい雰囲気のカフェ風にしました。深緑と黒がイメージカラーの麦味登(YSM)
このブランド改革で、北部から南部まで1300店近あった加盟店は、790店まで半減しましたが、売上高は年々成長しました。店舗を改装するごとに、売上高は3割増え、店舗数は800店台まで戻りました。
品質を均一化
どの店も同じ品質で提供することは、フランチャイズの基本ですが、これまでの朝食店にとっては難しいことでした。加盟店オーナーが使用する食材、調理方法、調理時間、調理環境が違うからです。また、多くの種類の食材を揃えることは、加盟店オーナーに負担でした。
卓靖倫氏は商品の定量化と設備の統一で、800店余りの品質均一化に成功しました。材料や下ごしらえの大部分をセントラルキッチンで担い、ソースなども個別包装で店舗に送ることにしました。
加盟店オーナーは、袋を開けてマニュアルに沿って調理するだけです。麺のゆで具合やソースの量に対するクレームも減りました。
加盟店オーナーと対話
卓靖倫氏は1日3~5店、1年で300店以上に足を運んでいます。加盟店オーナーと一対一でコミュニケーションを取り、フィードバックを得るためです。
加盟店オーナーから耳にした問題はどんどん解決しました。たとえば、お茶をいれるのに30分もかかると聞けば、茶葉の原産地のスリランカまで16時間かけて飛んでいき、現地でティーバッグを仕入れてきました。
デジタル改革で加盟店支援
卓靖倫氏は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関心があり、これからの企業はデジタル化を進めなければ生き残れないと考えています。
卓靖倫氏にとってデジタル化は、加盟店オーナーの悩みを解決することです。
麦味登は7年で3つのアプリを開発しました。材料の仕入れ、人員配置管理、販売状況、出店先の選定まで、加盟店オーナーのために設計しました。
また、テイクアウト(ToGo)専門店を出店しました。客が行列せず、保温ボックスにある温かい商品をすぐに持ち帰れるようになりました。
早くも17年に、モバイル決済アプリ「Pi行動銭包(現・Pi拍銭包)」を導入しました。消費者はスマートフォンで注文、支払いでき、店舗で待たずに済むようになりました。
卓靖倫氏は22年12月に執行長から董事長に昇進し、引き継ぎが完了しました。これからは市場シェア拡大、高付加価値化を目指していきます。
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