記事番号:T00105940
東哥企業(東哥遊艇、オーシャン・アレクサンダー、OA)は、台湾株式市場に唯一上場している世界4位のクルーザーメーカーです。ブランド「オーシャン・アレクサンダー」を創設し、高級クルーザーでアジア首位です。アジアのほか、米州、欧州、豪州で販売しており、米国市場シェアは50%を超えます。
東哥企業は1978年設立。社名は、創業者の闕詒流氏のニックネーム「東哥」と、英語名のアレクサンダーから命名しました。
2021年の連結売上高は45億5400万台湾元(約200億円)で、1株当たりの純利益(EPS)は9.55元でした。
ブランド立ち上げ
闕詒流氏は軍を退役後、金物屋を営んでいましたが、友人が借金返済のためクルーザー工場を売却することがきっかけで、クルーザー製造に参入しました。
台湾のクルーザー業界は当時、受託生産が中心でした。闕詒流氏は、このビジネスモデルでは、顧客の需要がすぐ分からず、長期的な発展に不利だと気付き、ブランドを創設しました。
友人のつてで、米シアトルのデザイナーに依頼し、米国の消費者が好むモデルを設計し、高品質、高価格路線を追求しました。
第1号のクルーザーは、数十隻が売れました。顧客は中産階級や企業幹部クラスで、知名度が一気に上がり、初年度に黒字を達成しました。
アフターサービスを徹底
東哥企業は、クルーザー販売だけでなく、オーダーメイドで製造し、アフターサービスまでワンストップで提供しています。
ある顧客は、バハマでのリゾートのため、クルーザーで航海に出たところ、船内の洗濯機が故障するというトラブルに見舞われました。連絡を受けたアフターサービス部門は、タクシーや小型機を飛ばし、全く同じ型の洗濯機に無料で取り替えました。ある時には、壊れた電球1つを取り替えるために、スタッフが車で半日かけて、顧客のクルーザーのところに駆け付けました。
富裕層の顧客にとって、平均1300万米ドルのクルーザーは取るに足らない価格ですが、こうした手厚いワンストップサービスが、北米市場で大きな強みとなりました。
90年代に、米国でボートなどにぜいたく税が導入されたことや、台湾元高が打撃となり、多くのクルーザーメーカーが倒産しました。東哥企業の売上高の4割を占めたシアトルの販売代理店も、廃業に追い込まれました。東哥企業も危ないところでしたが、M&A(合併・買収)や人員削減で、なんとか持ちこたえました。
99年ごろ、闕詒流氏は体調を悪くし、オーストラリアに住む一人息子の闕慶承氏に事業を引き継いでほしいと頼みました。闕慶承氏は、台湾に戻って1年間だけ手伝い、父に会社を処分させるつもりでした。うれしい誤算で、闕慶承氏はクルーザーに興味を持ち、会社を畳まなかったどころか、2017年に株式市場で上場を果たしました。
富裕層を囲い込み
闕詒流氏は、東哥企業が競合を凌駕できたのは、富裕層の需要を掴んだことだと分析しました。小さなねじ1つから、船内の大型設備や内装の設計までこだわり、▽製造、▽販売、▽サービス──まで自社で一手に引き受けています。
クルーザーは、お金持ちのおもちゃですが、お金持ちを相手にする商売は難しいものです。サービスをシステム化して、顧客を囲い込んでいます。
東哥企業は、競合のようなカスタマイズでなく、モジュール化して量産することで、開発コストを削減し、引き渡しまでの期間を1年半と、通常の2年から大幅に短縮しました。米国市場で、モジュールが受け入れられやすいことも奏功しました。
東哥企業は、22年上半期(1~6月)の粗利益率は44.9%と過去最高、純利益は9億2800万元、EPSは10.55元でした。
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