記事番号:T00105409
調剤併設型ドラッグストア「大樹連鎖薬局」を運営する大樹医薬(グレート・ツリー・ファーマシー)は、医薬品・保健用品のチェーン店で初めて店頭公開しました。2021年の連結売上高は113億台湾元(約520億円)で、1株当たりの純利益(EPS)は5.83元でした。
大樹連鎖薬局は、医薬品や健康食品のほか、ベビー用品、化粧品なども販売しています。店舗は289店(10月19日現在)で、19年に買収した美吾華集団の薬局チェーン、博登薬局を合わせると約330店と、台湾の薬局チェーン最大手です。
ビジネスマンの弟と開業
大樹医薬は01年、薬剤師免許を持つ兄の劉玉騰氏と弟の鄭明龍氏が設立しました。前身は、劉氏が93年に開業した、わずか14坪の薬局でした。94年に全民健康保険(健保)制度が導入され、処方せんの要らない一般用医薬品(OTC医薬品、大衆薬)の規制緩和や、薬局チェーンとの競争に直面。不動産仲介チェーン出身の鄭氏と、事業転換を模索し、薬剤師の劉氏が薬局に常駐し、鄭氏が財務、物流、人事、マーケティング、情報、一般用医薬品の調達を一手に担うことにしました。
薬剤師を育成・確保
ビジネスセンスがある鄭氏が加わり、大樹医薬は飛躍的に成長しました。
鄭氏は、販売は常に差別化が必要と認識していました。また、薬局の規模を拡大するには、薬剤師の育成・確保が必須と考えました。加盟店や出資で、若い薬剤師を獲得したほか、嘉南薬理大学(台南市仁徳区)や大仁科技大学(屏東県塩埔郷)の薬学系との産学提携で、薬剤師の卵を育成しました。
大樹医薬の薬剤師は、ただ調剤を行うだけでなく、▽仕入れ、▽物流、▽在庫管理──なども学びます。そのため、加盟店を経営することになっても、すぐに対応できました。
量販店やコンビニに出店
大樹医薬は、業界で初めて、異業種提携を進めました。09年、量販店大手の家楽福(カルフール)にインショップ方式で出店しました。
15年には、コンビニエンスストア大手、全家便利商店(台湾ファミリーマート)と、薬剤師が24時間駐在する薬局との複合型店舗を出店しました。15年9月には、中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)傘下の越境電子商取引(EC)サイト、天猫国際(Tモールグローバル)にも出店しました。
開架式販売を充実
大樹医薬は、小売業に倣い、大型店舗や小型店舗を問わず、坪効率(1坪当たり売上高)を追求しました。
店舗設計の考え方を変えれば、どんな商品も売れるようになると考えました。
薬局の医薬品は、客の手が届かないカウンター内などに陳列しますが、大樹医薬は、処方せんが不要で、自分で選んで買うことができる薬品の開架式販売の割合を高め、値札の文字も大きくしました。
家庭用医療機器のサンプルを展示して、客が試用できるようにしました。窓際の商品棚を取り払い、店の外から店内が見えるようにしました。こうした小さなことの積み重ねで、カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させました。
売れない商品は淘汰
商品が多いほど、在庫管理費が増え、資金繰りを圧迫します。そこで大樹医薬は、売れる商品と売れない商品を分類し、店舗の商品を常に入れ替えました。
店舗に陳列する商品は、機能で700余りに分類し、さらにA~Cランクを付け、在庫の量を決めました。Aランクは必須、Cランクはなくてもいい商品です。毎週、ランクを確認し、どうすれば売れるか検討し、管理職に報告します。インターネットでよく売れている商品があれば、店舗で販売します。
スギ薬局の商品販売
大樹医薬は20年11月、日本でドラッグストア「スギ薬局」を展開するスギホールディングス(HD)と、業務提携を結び、スギHDのプライベートブランド(PB)商品200品目が販売できるようになりました。スギHDは今年9月、大樹医薬への出資を発表しました。
鄭氏は、薬剤師1000人、1000ジャンルの需要、店舗1000店、企業1000社と提携という、4つの「1000」を目標に掲げています。このうち、店舗1000店は、25年に達成する見通しです。
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