ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

第190回 ソフトワールド董事長 王俊博氏/台湾


コラム 台湾事情 作成日:2022年5月20日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第190回 ソフトワールド董事長 王俊博氏/台湾

記事番号:T00102658

 オンラインゲーム大手、智冠科技(ソフトワールド・インターナショナル)は、ゲーム会社で両岸(中台)初の上場企業で、台湾最大のゲーム配給会社です。2021年連結売上高は66億100万台湾元(約290億円)で、粗利益率は50.23%、純利益は8億3000万元、1株当たり純利益(EPS)は6.84元でした。

3ドルでゲームソフト販売

 董事長の王俊博氏は、旧台南県の小さな漁村に生まれ、父親は小学校の音楽教師でした。

 王俊博氏は軍隊を退役後、貿易会社の営業職に就いたり、色料の化学工場を立ち上げたり、カセットテープの卸売りをしたりしましたが、父親の影響で音楽が忘れられず、1977年に親族間の互助会を利用して亜洲唱片(アジアレコーディング)の版権とロゴを購入しました。

 ラジオ放送のとある司会者と共同で「抒情金曲大賞」というテープを売り出し、1000万元を売り上げましたが、レコード業界は競争が激しく、ゲームソフト業界での創業を決意しました。

 83年に、資本金500万元でソフトワールドを立ち上げました。当時、ゲームソフト業界では海賊版問題が深刻だったので、▽低価格、▽大量、▽迅速な在庫補充──の戦略で、市場に乗り込み、ソフトを3米ドルで販売する「3米ドル計画」を推進しました。コスト、印税費用、利益がそれぞれ1米ドルです。

 ゲーム開発会社の米ストラテジック・シミュレーションズ(SSI)は、もともとソフトを海外で1セット49米ドルで販売していましたが、王俊博氏は説得の結果、台湾で3000セットの販売を受け持つことができました。

 マーケティングに力を入れ、独特の商品陳列スペースや色鮮やかなパッケージデザインで顧客を引き付け、1次販売で予想外の5000セットを売り上げました。この薄利多売で市場シェアを先に押さえる戦略で、ソフトワールドは有名になりました。

 最盛期には60社のゲームソフト会社の台湾でのライセンスを獲得し、市場シェアは70%に上り、瞬く間に台湾の海賊版ゲームソフトを一掃しました。

 ソフトワールドが築いた販売網はマーケットの先端を走っていました。初期には、貸し漫画屋や書店、ビデオテープ屋、パソコン販売店などで販売し、その後はコンビニエンスストアや家電量販店、インターネット喫茶、郵便局まで販売網を広げました。現在は、インターネットや携帯電話などの綿密な販売網で、マーケットシェアを一網打尽にしました。

 業界で、きょう製品販売をソフトワールドに任せれば、あすには消費者の手元に届くと言われるほど。ライセンス獲得とゲーム販売の基礎を固めました。

ゲームソフトの自社開発

 以前、台湾では自前でのゲームソフトの開発力が乏しかったため、利益のほとんどが海外への高額なロイヤルティーの支払いに消えることがよくありました。

 王俊博氏は89年、社内で研究開発(R&D)部門を立ち上げ、ゲームの設計に乗り出しました。

 ゲームクリエイターを確保するため、90年からは5年連続で台湾全域規模でのゲームクリエイター大会「金磁片奨」を開催しました。優勝を獲得した4人の大学生は、卒業後にソフトワールドに入社しました。王俊博氏は彼らのために子会社の中華網龍(チャイニーズ・ゲーマー・インターナショナル)を設立し、自社のオンラインゲームのR&Dに当たらせました。

 偉ぶることがない王俊博氏は、よくR&Dチームとともに製品開発に携わり、一緒に弁当を食べたり、床で睡眠をとったり、2週間もの間、風呂に入らなかったこともありました。

 王俊博氏は同業他社に先駆け、1000万元をかけて、本社の地下倉庫を社員食堂にし、従業員の朝食、昼食、夕食だけでなく、夜食の問題まで解決しました。4人分を持ち帰り、家族の腹を満たす従業員もいたほどで、王俊博氏は、従業員の胃袋を掴むことは、昇給よりも効果的だと語りました。

大きな子ども

 王俊博氏とじっこんの間柄にある人は皆、彼を「大きな子ども」と呼びます。王俊博氏は、従業員を笑わせるため、よくコスプレして、舞台に上がります。ある時は関羽に扮して青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)を振り回したり、またある時は黒いマントを付け、現代の侠客(きょうかく)になったりしました。

 王俊博氏は、自ら動くことで、従業員はトップの思いを感じることができると考えています。

 近年、デジタル・エンターテインメント・サービスが急速に発達する中、王俊博氏は競争力を高めるために、▽デジタルゲーム、▽インターネット・マーケティング、▽フィンテック──の三大事業に注力しています。また、将来の事業を見据え、台湾市場を強固なものとするだけでなく、東南アジア展開も進めています。

 

〜ミドルマネジャーは戦術を策定し、指揮するキーマン!〜

台湾人向け管理者研修

講師:ワイズコンサルティング 高級顧問 荘建中

台北・台中・高雄で6月、8月開講!

https://www.ys-consulting.com.tw/seminar/98021.html

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

台湾流経営策略台湾の名経営者

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。