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第28回 〜WBC開幕前日!〜台湾職場の柔軟性と人情味


コラム 台湾事情 作成日:2026年3月4日

段子の台湾トレンド情報

第28回 〜WBC開幕前日!〜台湾職場の柔軟性と人情味

記事番号:T00127160

【はじめに:いよいよ明日開幕!】

 こんにちは。ワイズリサーチの段です。前回のコラムで「来月はTeam Taiwan一色になる」と紹介しました。

 いよいよ明日(3月5日)からWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕します!明日の昼には初戦となる「台湾対オーストラリア戦」、そして明後日(6日)には運命の「台湾対日本戦」が控えています。実は私、明日から8日まで台湾の全試合、東京ドームへ足を運んで応援します!

 今回のコラムは、そんな開幕直前の「リアルタイム」でお届けします。テーマは「WBC期間中の台湾社会とオフィス」。明日の昼頃、あなたのオフィスの社員たちは間違いなくザワザワし始めるでしょう。その前に、台湾人の心を掴むための非常に面白いケーススタディをお伝えします。

■校内放送で実況中継!?

 そもそも、台湾人の野球に対する情熱は昨日今日始まったものではありません。少し私の個人的な思い出をお話ししましょう。

 私が高校生だった2003年、日本・札幌で行われたアジア野球選手権大会でのことです。当時、なんと学校側が「校内放送(スピーカー)」を使って試合の実況中継を流していたのです!授業中にもかかわらず、先生も生徒も一緒になって一喜一憂していました。

 日本では考えられないかもしれませんが、台湾において野球のナショナルチームを応援することは、学校のルールさえも柔軟に変えてしまうほどの「国民的行事」なのです。このDNAは、今の20代~40代のビジネスパーソンにも深く刻み込まれています。

■チケット無い…クラファンでパーティー

 そんなDNAを持つ人々がWBCを迎えれば、民間レベルの行動力も凄まじいものになります。今回のWBCチケットは当然プラチナ化し、買えない人が続出しました。

 そこで立ち上がったのが、台湾プロ野球のコミッショナーである蔡其昌氏(中華職棒大聯盟の会長)や、大御所タレントの邰智源(タイ・チーユエン)氏です。彼らは台湾最大級のクラウドファンディングサイト「嘖嘖(Zeczec)」を活用し、瞬く間に資金を調達。そして、台湾国内だけでなく、なんと東京の会場にもファンが集まって一緒に応援できる「巨大なライブ配信のパブリックビューイング会場」を作り上げてしまったのです。

/date/2026/03/04/30wbc_2.jpg2009年WBCも日本の友人たちと東京ドームで観戦(写真:筆者撮影)

 前々回のコラムで「Threadsの互助会」について触れましたが、まさに同じ構造です。「困っているなら、みんなで資金を出し合って解決しよう」というボトムアップの団結力。これもまた、今の台湾の行動力を読み解く重要なキーワードです。

■「チアガール!」忘年会に見る野球特需

 この国民的な熱狂を、台湾の企業が見逃すはずがありません。台湾には「尾牙(ウェイヤ)」と呼ばれる、企業が従業員を労う盛大な忘年会文化があります。

 かつて尾牙の目玉といえば大物歌手のライブでしたが、ここ数年でトレンドが激変しました。多くの企業がプロ野球の「チアガール(啦啦隊)」をメインゲストとして招待しているのです。半導体トップの台湾積体電路製造(TSMC)や鴻海などの大企業でさえ人気チアリーダーたちを呼び、ステージ下に社員が殺到するほどの熱狂を生み出しました。

/date/2026/03/04/31wbc_2.jpg段子の「推し」、中信兄弟チアの瑄(シュエン)(写真:筆者撮影)

 さらに驚くべきは直近の抽選会の特賞です。家電・スマホに代わり、WBCの観戦チケット(航空券+宿泊代セット)を用意する企業が続出しました。

 「今、従業員が一番熱狂できるものは何か?」を瞬時に察知し、会社の経費を使ってでも応援をサポートしているのです。この圧倒的なスピード感と粋な計らいこそが、台湾企業のマネジメントの強さの秘訣だと言えます。

■ザワつくオフィスを味方に

 さて、いよいよ明日のお昼から台湾の初戦が始まります。明日のオフィスはどうなるでしょうか。おそらく、パソコンのサブモニターでこっそり文字中継を追っていたり、なんだか社員たちがザワザワ、ソワソワと落ち着かない空気になるはずです。さらに明後日の日台戦ともなれば、「少し早めに退社させてください」という者も現れるでしょう。

 ルールを重んじる日系企業からすると、少し眉をひそめたくなるかもしれません。しかし、ここが台湾のマネジメントの腕の見せ所です。「仕事中にけしからん!」と叱るのではなく、明日、ザワザワしている社員に「オーストラリア戦、勝てそうですか?」と一言声をかけてみてください。可能であれば、柔軟にルールを緩めて一緒に熱狂を共有してみてください。

 「自分たちの情熱(Team Taiwan)を理解し、尊重してくれるボスだ」。その事実が、台湾の従業員との間に、どんなボーナスにも勝る深い信頼関係を築き上げます。明日から始まる熱狂を通して、ぜひ皆様のオフィスにも最高の一体感を作り出してみてください。

 それでは、本コラム「段子の台湾トレンド情報」を、引き続きよろしくお願いいたします。私は明日から東京ドームへ行って参ります!

段婉婷

段婉婷

ワイズコンサルティング社部長兼ワイズリサーチ社経理

 持ち前の明るく頼れる性格で社内外で前向きなリーダーシップに定評がある。業界・マーケット調査、消費者調査の豊富な経験を有する他、社員研修の講師としても活躍中。ISO27001審査員資格を保有し、クライアントの情報セキュリティ課題もサポート可能。(言語)日本語◎・中国語◎

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