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第43回 台湾のビンロウ文化


コラム 経営 台湾事情 作成日:2009年5月22日

台湾流経営策略 台湾の経営手法

第43回 台湾のビンロウ文化

記事番号:T00015513

 
 台湾は名実ともに「ビンロウ王国」といえます。行政院農業委員会の統計資料によると、ビンロウの栽培面積は近年5万ヘクタールを超え、生産高15万トン、年生産額は100億台湾元(約290億円)を突破しました。これは全農産物のうち米に次いで2番目に高い額になります。

 不思議なのは、ビンロウが健康に悪影響を及ぼすのは明白であるにもかかわらず、なぜ台湾ではこうも受け入れられているのか、ということです。その理由は、ビンロウは栽培が容易な上、非常に高い収益が得られるため、農民たちにとって「緑色黄金」といわれるほど価値の高い作物であることにあります。

民間伝承の中のビンロウ

 ビンロウが中国の歴史に登場したのは1,500年も昔で、民間には次のような話が伝わっています。

 ――はるか昔、炎帝(漢民族の祖先とされる「神農氏」の首領)には「賓」という娘がおり、夫の名は「檳榔(ビンロウ)」といいました。彼はすぐれた容姿に加え勇敢な心の持ち主でしたが、ある時崑崙山で魔物と戦い、不幸にも命を落としました。すると彼の魂は一面の林と化し、その木は「ビンロウの木」と呼ばれ次々に実を結ぶようになったのです。妻の「賓」は思慕の念を示すため、その実を小さな袋に詰めて持ち歩き、お腹がすけばその実をかみこなすようになりました。時がたち、ビンロウを食べれば魔物など恐くなくなるといううわさが伝わると、次第にビンロウを口にする人が多くなりました。

 これがビンロウをかむ習慣が広く伝わった由来です。

先住民の神聖な植物

 また、台湾南部の先住民にとって、ビンロウは非常に貴重なアイテムの一つとなっています。例えばパイワン族、ルカイ族、アミ族、プユマ族、ブヌン族といった先住民は婚礼の際、結納の品に必ずビンロウを加えます。もし結納品にビンロウがなければ、新婦を迎えに行った新郎側の行列も手ぶらで帰らなければならないほどの重要な品です。大規模な祭事において、ビンロウは無くてはならない供え物とされ、さらにブヌン族の祭事では、ビンロウは法具として使用されるほど神聖な地位を占めています。

台湾名物「ビンロウ西施」

 現代の台湾では、ビンロウ栽培で得られる収入のほか、ビンロウを売るビンロウ・スタンドの売り上げも相当なものとなっています。スタンド1軒では1カ月当たり25万元以下のコストで10万元以上の利益を生み出すことができます。高収益を求めて競争が激化し、セクシーな女性を使って客引きに乗り出す業者が増えた結果、台湾特有の「ビンロウ西施」(西施は美人の代名詞となった春秋時代、呉王の寵妃)文化が形成されました。新世代のビンロウ・スタンドではさらに24時間営業、店舗のスケルトン化、および女性販売員の「清涼化(露出度アップ)」が進みました。

 ビンロウ西施の起源は、台湾南部出身の「双冬ビンロウ姉妹花」と呼ばれた2人組だとされています。彼女たちの親切で愛想の良いサービスがドライバーや馴染み客に喜ばれたのだそうです。

 ただ、当初ビンロウを売る女性の服装は決して今日のように性的アピール度の強い、過激なものではありませんでした。ビンロウ業者によると、1996年ごろ、ある業者が電飾カーや欧米の売春地区に見られる「飾り窓」の手法を取り入れ、セクシーな若い女性を使って桃園県中レキ(つちへんに歴)市や桃園市などでビンロウ販売を始めたところ売れ行きが良く、他の業者たちもこぞって同じ手法を取り入れるようになったというのです。

 台湾のビンロウ・スタンドが名物となった要因は、目の保養になるその衣装です。これらセクシーな衣装は、取り締まりを避けつつ、客の目を楽しまるため高い露出度を保てるよう、少ない布を使ってスタイルやデザインに大いに工夫が施されているのです。

 これまでは隠すべき部分を隠し、客の想像をかき立てる半透明の素材が最大のセールスポイントとなっていましたが、流行の変化により、ビンロウ西施の衣装も、安っぽいピカピカした薄手のものから、可愛らしいビキニ、レースクイーン風、ナースの看護服と進化しました。現在では「黒渋会美眉」(黒Girl)という女性アイドルグループ風の衣装が人気だそうです。ビンロウ西施は、少し工夫すれば月5万、6万元を稼ぐのは簡単だとされます。

 ある研究者は、彼女たちがまだ若い身体を武器にスタンドに立つことは、有名モデルやタレントがメディアで性的魅力をアピールすることと何ら変わりなく、どちらも男性の潜在的な欲望を満たすものだといいます。また研究者いわく、「ビンロウ西施は台湾における一種の欲望のはけ口で、若さあふれるビンロウ西施と短時間言葉を交わすことは、女性との縁が薄い多くの中下層男性が、異性と近づく最も手軽な方法となっている」のだそうです。

永遠のマーケティング手法

 色仕掛けは永遠のマーケティング手法です。モーターショーではしばしば露出度の高い衣装を着たモデルを目にし、コンピューター展示会でもセクシーな若い女性がサポート役を務めます。セクシーな衣装を着た少女にポールダンスをさせる鍋料理店まで出現しているほどです。身体を露出した若い女性が車やコンピュータ、飲食物を売ることが許されて、ビンロウを売ってはいけない理由があるでしょうか?色仕掛けがわいせつなレベルに及ばない限り、台湾独特の光景である「ビンロウ西施」が存在する権利を尊重しても良いのではないでしょうか。

 皆さん、もし興味がお持ちならユーチューブ ( http://www.youtube.com )で「檳榔西施」と入力すれば、すぐにその実態を知ることができますよ!


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