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台湾の新年(26日)まであと3日に迫りました。年が明けると、新しい1年が幸運に恵まれるよう多くの人が寺院を参拝します。金運をつけたいと考える人にとって、財運をつかさどる神様を祭る一般的な寺院以外に、神様から「借金」ができる特別な寺院が台湾には存在します。今回はそんな一風変わったお寺をご紹介します。
借りると必ずもうかる
南投県竹山鎮の「福徳正神」(俗称「土地公」)を祭る寺院、「紫南宮」(1975年建立)は、地域の住民に庇護を与え、平安無事をもたらしてきたとされています。いつからか、このお寺からお金を借りて投資を行うと必ずもうかるとの評判が生まれ、そのお礼に翌年寺院にお金を返すという習わしが定着しました。その後、このうわさが台湾中に広まり、全土各地からの参拝客が増えるようになりました。休日の多い日には200台もの観光バスがやって来るため、紫南宮では管理委員を組織して整理に当たっています。「借金」をしたいという参拝者が後を絶たないため、寺院では早々に銀行方式の窓口を導入し、今では会計のすべてがコンピュータ化されています。
紫南宮の土地公から「借金」をしたい人は、必ず「筊杯(道教の占いに用いられる二つ一組になった赤い三日月状のアイテム)」を振らなければなりません。1回振って神様からの「同意」が得られれば、600台湾元(約1,600円)を借りられ、2回目で「同意」が得られれば500元を借りられます。
商売上手な神様
借りたお金を元手に商売で成功したり、願いが成就すれば、次の年に「謝礼」をしなければなりません。金額に決まりはありませんが、借りた額より多く返すのが不文律となっています。統計によると紫南宮では2007年、2億元を貸出して2億8,000万元の「謝礼」があり、08年には約45万人に2億5,000万元を貸出して3億元以上の「謝礼」を受けました。ビジネスとしてみれば、07年の投資報酬率は40%に達し、不景気に陥った08年も20%以上に上っています。神様からの借金を「踏み倒す」勇気のある人はいないということでしょう。
また、寺院では今年、参拝者の寂しい懐具合を考慮して消費券での「謝礼」も受け付けるそうで、「まったく土地公は商売上手だ」と参拝者を恐れ入らせているようです。
紫南宮の土地公がもたらす「発財金」の名声は、海外にまで届いており、直航実現で増えた中国大陸からの観光客も多く参拝に訪れています。このため、紫南宮の賽銭箱の中は、人民元あり、米ドルあり、日本円ありと、国際色豊かになっています。
読者の皆さまも、次回南投県の日月潭などを訪れた折には、ぜひその足で紫南宮にも立ち寄って、「発財金」を手に入れてみてください。ビジネスが上向き、よい1年に恵まれるかもしれませんよ。
紫南宮での「借金」の流れ
一.「借金」をするための条件
(1)満20歳以上
(2)身分を証明できるもの用意する
中華民国国民身分証、健康保険カード、運転免許証など
二.「筊杯」を振る際の注意点
(1)「筊杯」を振る前に土地公に対し住所、氏名を告げ、「発財金」の使途を表明する
(2)1回目に土地公からの「同意」が得られれば、600元、2回目で500元、3回目で400元、4回目で300元、5回目で200元、6回目で100元が借りられる。6回振って「同意」が得られなければ同寺院に祭られている「開運金鶏(開運をもたらす金でできたニワトリ)」の像を拝ませてもらう。
三.「発財金」の使用方法
借りた「発財金」は自身の本業に関係する用途に使用する。例えば、事務系の仕事なら文房具、建設関係なら工具や材料、営業員ならガソリン代など。また、銀行に貯金してもよい。
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