第41回 寺院経営シリーズ3−大甲媽祖の巡行


コラム 経営 台湾事情 2009年3月27日

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第41回 寺院経営シリーズ3−大甲媽祖の巡行

記事番号:T00014316

 
 今回は、台湾で最大規模の宗教行事で、ドキュメンタリー専門チャンネル、ディスカバリーチャンネルに世界3大宗教行事の一つと紹介された「大甲媽祖の巡行」とその商業性についてご紹介します。

 年に一度の「大甲媽祖の巡行」は、台中県大甲鎮の鎮瀾宮に祭られている海の守り神、媽祖をみこしに乗せて、8日間かけて嘉義県新港郷の奉天宮の間を台湾各地の信者10万人以上と共に往復するものです。今年は3月21日、馬英九総統らが参加して、出発の行事が執り行われました。

 みこし行列は台中県から彰化県、雲林県、嘉義県まで11の郷鎮、80以上の廟(びょう、道教の寺院)を訪れます。その距離なんと330キロメートル。今年、行列に加わる信者は少なく見積もっても延べ50万~60万人とみられており、全行程を徒歩でという敬けんな信者もいれば、自転車やバイク、自動車などで行列に加わる人もいます。

 なお、大甲媽祖の巡行では、以下の6つの戒律があります。

1)喪中の人や妊娠中の女性は参加できない

2)参拝の前にはお香で身を清める

3)巡行開始後は、肉類を口にせず、菜食とする

4)初めて同行する場合、新品の衣服を身に付け、各地の神々に敬意を示す

5)スタッフは専用の衣服を着用し、その格好のままトイレに行ってはいけない。また、その他の衣服を上に羽織ってはいけない

6)巡行の道中は賭け事や色恋ごとは御法度で、飲酒も禁止

この20年で大きく成長

 200年以上の歴史がある鎮瀾宮は当初、台中県の海沿いの地方でひっそりと信仰されており、巡礼も数十人規模で行われていました。しかしメディアや政界による宣伝効果で、この20年で台湾全土の媽祖の代表的存在となり、1980年代中ごろからは、毎年の巡礼参加者は数十万人へと増えました。

 台中県政府は2003年から、民間とのタイアップで「大甲媽祖国際観光文化節」イベントを始めました。域内外の団体によるパフォーマンスや、自転車やマラソンで巡行区間の制覇に挑戦する「万人崇自転車媽祖」などを開催。その後、地方の伝統工芸のショーや、中台のタレントやアーティストの参加などで、高齢者だけでなく、若者も引き込むことに成功しました。

大甲媽祖バージョンの携帯も

 大甲媽祖の巡行に商機を見込んだ企業は、競って媽祖関連グッズを発売しました。特に話題となったのが、英華達(インベンテック・アプライアンシズ)の携帯電話、OKWAPの大甲媽祖記念バージョンです。限定2,000台があっという間に売り切れたほどの人気ぶりだったとか。

 同機種は、電源を入れると媽祖のアニメーションが現れるほか、バッテリーカバー部分には媽祖の像が彫られています。待ち受け画面は鎮瀾宮で、着メロ(着信音)には鎮瀾宮の廟歌や、南無観世音菩薩のお経、宗教音楽の三宝歌なども用意されています。さらに、お香付きや、伝統工芸の中国結びの携帯ストラップもあります。これで、身も心も媽祖に包まれるというわけです。

 2007年に台中県文化局が専門家に委託して媽祖関連の商機を試算したところ、鎮瀾宮だけで3億~5億台湾元、巡礼全体では25億元に上ったそうです。

 鎮瀾宮による大甲媽祖の巡行の広告は、インターネットや屋外看板など至るところで見られます。その上、各テレビ局も競って実況中継で報道しています。例年、大甲媽祖のみこしには全地球測位システム(GPS)と撮影設備が取り付けられ、鎮瀾宮のサイト上で、巡行の様子を確認することができます。(http://www.dajiamazu.org.tw/)

 台中県政府の専門サイト「大甲媽祖国際観光文化節」(http://mazu.taichung.gov.tw/)でも、大甲媽祖の巡行について理解が深められます。いずれも中国語だけでなく、英語や日本語の紹介文もありますよ。


台湾の風習を知る~「鑽轎底」

 「鑽轎底」はもともと、信者が媽祖にお願いをする際、庶民の身分では大したお礼ができないことから、感謝の意を表すために、身を屈めて媽祖が通る台になるという意味でした。

 今ではその動作自体が、平安や厄よけの効果を求める行為となりました。大甲媽祖に参拝する信者らが長い列を成しながらひれ伏す姿は圧巻です。信者らはみこしがその上を通り過ぎた後、また列の後ろに続き、身を屈めていきます。


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