記事番号:T00122816
台湾各地でホテル6軒を展開している承億集団は、独自のデザインとスタイルが評価され、「台湾で最も美しいホテル」や「最も美しい客室」などの賞を受賞しています。
高雄市の都市型リゾートホテル「承億酒店」(YSN)
創業者の戴俊郎・董事長は1972年に生まれました。18歳のときに建設現場でアルバイトを始め、レンガを運んだり、現場監督の手伝いなどから社会人生活をスタートしました。19歳で工事現場の主任となり、22歳で丙級の建設会社、三本営造を起業しました。28歳で、建設会社の承億建設を設立し、1000万台湾元(約5000万円)クラスの住宅開発を手掛けました。
38歳になると、ホテル業に参入しました。嘉義市の住宅街にあった老朽化した義美歌劇院(オペラハウス)を改装し、2011年に1号店の承億文旅(ホテルデイプラス)を開業しました。
■1都市に1軒のホテルを
承億文旅は現在、▽新北市淡水区の「淡水吹風」、▽嘉義市の「桃城茶様子」、▽花蓮県の「花蓮山知道」、▽南投県の日月潭の「潭日月」──やホステルの「小承軽旅(レッツホステル)」、高雄市の都市型リゾートの五つ星ホテル「承億酒店(TAIアーバンリゾート)」の6軒があります。
戴氏は、1都市に1軒のホテルを展開する「島鏈計画」を掲げています。チェーン展開ではなく、各地の文化や地域性に合わせたホテルを一から設計し、どのホテルも、地域色やストーリー性があります。
ホテルを開発する際は、ターゲット層を設定し、ビッグデータを分析し、コンセプトを設定。長期間にわたってフィールド調査を行い、その街の文化、歴史的文脈を理解しています。これにより、台湾のクリエイティブホテルを代表する存在となりました。
■若手も共同経営者に
戴氏の人材マネジメントは、「若者の頭脳を利用して、若者の財布をつかむ」ため、▽大胆な若手登用、▽異業種出身者の積極採用──が特徴です。1995年以降に生まれた若者を中心に採用し、上級管理職の平均年齢は35歳未満です。
社内では、職位や勤続年数を問わず、誰でも新しいホテルの企画を提案し、認められれば支配人になれる「館長コンテスト」を開催しています。企画者は、事業計画、ブランドのポジショニング、デザインのアイデア、地域の文化融合、コストなどを提案します。
審査を通過すれば、董事長や幹部の前で、プレゼンテーションを行います。採用されれば、企画者はホテルの支配人やマネージャーに就任し、共同経営者となれます。
戴氏は、「従業員は言われたことだけをやる歯車になるのでなく、一緒にブランドを作り上げてほしい。ホテルをどう経営するか提案段階から考えてほしい」と語りました。
■感動予算を現場裁量で
このほか、顧客に感動を与えるために、スタッフが上司への事前承認なしに、各ホテルが月3000~5000元を自由に使うことができる「情熱基金」があります。
例えば、誕生日を迎える宿泊者に、サプライズのケーキやカードを用意したり、宿泊者のプロポーズを演出したりしています。
戴氏は、「仕事を一生懸命するだけでなく、生活を楽しみ、他者を思いやれる人こそ、思い出に残るホテルをつくることができる」と語りました。
社内には、ワークライフバランスを重視する若者のために、独自の休暇制度を導入しています。
例えば、▽美学日、展覧会や舞台、文化講座などに参加する日、▽休耕日、完全オフで心身をリセットする日、▽有孝日、両親や祖父母と過ごす日(旅行や外出、健康診断の付き添いなど)──。
■ホテルがまるで美術館に
高雄市の都市型リゾートホテル「承億酒店」は2022年に開業しました。高雄市立図書館に隣接していて、アートの展示、文化交流、読書が融合した空間です。イラスト展「Staart亜洲插画芸術博覧会(イラストレーションアートフェア)」を3年連続で主催し、ホテル全体を美術館に変貌させました。
そんな戴氏は、社内で「芸術家すぎるデベロッパー」といわれています。
荘建中
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